「戦略PR」本田哲也著(@アスキー新書)に続くPR関係の本。
本書の方が実用的。
実践で具体的にどのようなことを行えばよいか?ということについて書かれている。
2009年7月6日発行。
10分の1の予算で、数倍の効果を得られるPR戦略のノウハウ。
と帯には記されている。
実際、広告業界はどうなのかということで
冒頭にJWTで長くCDをおやりになった関橋英作氏との対談が刺激的だった。
関橋氏はいまだ現役で広告キャンペーンに携わっていらっしゃる。
彼が書いた
「ある日、ボスがガイジンになったら!? -英語を習うより、コミュニケーションを学べ」
という本を読んでみたいと思った。
関橋氏は長く「キットカット」チョコレートのキャンペーンをやっている。
今年のカンヌ国際広告祭のメディアライオンのグランプリが
関橋さんがおやりになったキットカットのキャンペーン。
受験シーズンになると郵便局にキットカットを置いてもらい、
そのまま、そのキットカットが合格へ向けての励ましレターになるというもの。
ここに、こんなメディアがあり人を元気にし勇気づけるという
キャンペーンに対して世界は賞賛を送ったのだろう。
関橋さんは本書の中で言い切る。
クライアントのマーケティング担当者というのはもっと違う役割をもっているはずなんです。
でも表現するのは面白いじゃないですか。
だから広告表現に口を出したくなるわけですよ。
と。消費者自身が情報の発信者にもなった今、
消費者の購買行動が変化してきており
企業はその変化についていこうとしている。
そして既存のメディアを利用するというところから
自らメディアを作り発信していくという段階に来ていると語られる。
では「戦略PR」はどのようにしていけばいいのか?という問題になる。
PRとは媒体費がかからないわけだけら、
取り上げてもらえるのかどうかというところも未知数である。
そのときマスコミに取り上げてもらうようなことがまず重要であり、
そのためにはどうすればいいのか?ということが問われてくる。
ここには情報の取引しかない。
という言葉がその指針となるだろう。
情報に価値があると判断されればその情報は自然と拡がっていく。
その「ニュース」は戦略的に作っていくものである。
と。
中小企業だからこそ出来るブランディングとPR活動というのも面白かった。
「入社したい人は手を挙げて、手を挙げた人は全員採用の会社」という
実際の事例が紹介されていた。
PRを進める方策としてフリーペーパーを初めとし、新聞・雑誌・テレビに
どのようにアプローチしていけばいいのかが具体的に書かれている。
インフルエンサーに共感してもらうという手法も重要。
アルファブロガーを呼んで試写会やイベントなどを開くことが
実際、行われるようになって来ている。
また第4章の書籍を用いたPR手法も興味深い話だった。
会社の現在のノウハウを公開することによって新たな仕事を取り込んでいこうという手法。
そして具体的に出版界の事情から出版企画書に至るまで
様々な具体的なことが書かれている。
このように、本書は本田哲也著の「戦略PR」(@アスキー新書)以上に
実践的な内容のものである。
読んでいてこの手法を自分の会社に応用できないか?
などということを思わず考えさせてくれる。