何とも、難解な舞台だった。
場所は米国のとある州、そこに胸に番号をつけた男たちが、
ある見はり塔に監視されながら、それぞれの役を演じていく。
それぞれの役と言うのは、その役がカードで無作為に配られ、
そのカードのキャラクターを演じなければならない、というもの。
この施設は閉じられたもの、として認識されている。
雑木に囲まれた施設の中で彼らは生活をしている。
その閉じられた境界線は簡単に乗り越えていくことができる。
雑木林を抜けると外の世界へ抜けられるようになっているのだ。
しかし、施設の中の男たちは決して、外部へと脱走しようとはしない。
その中で与えられた役割を演じているのみ。
ここは会社組織を象徴したものなのかな?と思った。
会社組織で役割を与えられるとそれを社内でお仕事として演じる。
思い切って会社の外に出て起業したり独立したりすることは
勇気のいることである。
だから、多くのものはその中にとどまり続ける。
面白いのはカードが定期的に配られ(いわゆる人事異動)その役割が突然変わるところ。
上下関係が簡単に移動するのである。
円形劇場の円の中が様々な場所に変化する。
電柱のある場所。大バサミのある場所。壊れた冷蔵庫のある場所。などなど。
円形劇場の壁に、いまいる場所が投射され、
その場所を象徴する切り絵のドアに照明があてられる。
観客はそれを想像するだけ。なかなか根気のいる作業ではある。
そこでサバイバルゲームが繰り広げられているという設定になっているのだが、
それは「バトル・ロワイヤル」のようにわかりやすくはない。
そのわかりにくさが何故なのか?を考えた。
基本的な、この場所で行われているルールが説明されていないまま進んでいく。
観客はそれはどういったルールなのかな?
と最初考えるのだが、あまりのヒントの少なさと構造の複雑さに
考えることを放棄してしまうのである。
そうすると、この舞台と観客が乖離していってしまう。
どこかに、この世界観を簡単に説明するルールがわかりやすく提示されるものがあれば、
良かったのにと思った。
東京デスロックの夏目慎也やクロムモリブデンの板倉チヒロなど
個性的で素敵な俳優がよかった。
チェルフィッチュの山懸太一も、今までのイメージと違う役でおもしろかった。
最後のシーンの意味がわからなかった。
誰か教えてくださーい。
この舞台は、山中隆次郎が構築したロールプレイングゲームのような舞台だったのか?
最後にこの演劇ユニットのことについて引用する。
「ロハ下ル」とは?
元スロウライダーの山中隆次郎が、2009年4月、
ホラーにとどまらない多彩なバリエーションの作品を作るべく
立ち上げたプロジェクトです。
現実と非現実が同居するリアルな箱庭世界で、
哀しい悪人とやりすぎな善人が織りなす瑞々しい人間ドラマを描きます。