女優の水野美紀と作家の楠野一郎の二人が共同主宰している
演劇ユニットがこのプロペラ犬。
どういう意味があるのかはわからないが、竹コプターかなにかを頭につけて
舌を出しながら楽しそうなのだが顔は哀しそうに飛んでいる犬のことをイメージした。
犬種はできればバセットハウンドかな?
と思うのだが、ビーグル犬でも構わない。
決して、日本犬ではないような気がする。
それは水野美紀の顔がそうだから。
彼女のコロコロと変わる表情が魅力的で、それはまるで犬のようである。
水野美紀は舞台俳優をやると決めて勇気を持って事務所を変わり、
自分のやりたいことを実現するために手作りで小道具などを作ったり、
衣裳のデザインをしたりしている。
その姿と意志にほれぼれとしたものを感じる。
そして、その活動をきちんとやりつづけている姿勢に頭が下がる。
とともに、彼女を応援してくれているたくさんの人たちがいるのだな
ということを劇場のたくさんの楽屋花などを見て思った。
プロペラ犬の公演はこれが初めて。
気になって何度かみたいなと思っていたのだが、時間が合わなかった。
今回、行くことの背中を押してくれたのが演出の倉持裕。
倉持裕の主催するペンギンプルペイリパイルズの舞台が好きなのだ。
そして、ペンギンの公演で水野さんが舞台に立ったものも面白かった。
この舞台も、倉持さんのもっている独特なシュールな感覚が舞台上に現れていた。
奇妙なキャラクターがたくさん出てくる。
その造形の面白さがいい。
「おばけのQ太郎」や「ゲゲゲの鬼太郎」などのキャラクターが
現実世界に出てくるということを実際に行うと
今回のような舞台みたいになるのではないか?と思った。
大きなストーリーを縦軸に、そこから派生した
様々なエピソードのシーンが挿入されるという構造。
新婚で新居に越してきた夫婦(水野美紀・福田展球)がサボテンとともに暮らす。
二人の間には娘(猫背椿)が生まれ三人で暮らしている。
夫はあまり売れていない俳優をしている。
娘は将来レッチリになりたいという音楽好きの女子高生である。
夫は後に俳優を辞め、脚本家・作家として暮らすようになる。
そこに病院のシーンや家庭訪問のシーン、
映画の本読みのための楽屋のシーンなどが挿入される!
俳優が三人だけなので、水野・福田・猫背は様々な役を演じる。
少しデフォルメされた役が、バカバカしく、一緒に見に行った妻は、
水野美紀があんなに面白いコメディエンヌだとは知らなかった!
と驚いていた。
まるでコントを連続して見せられているような状態になる。
猫背の面白さは前から知っていたが、
今回、福田転球を初めて見て、その面白さに釘付けになった!
関西弁を喋りながらも品があり、情けなさとかっこよさが同居したような。
そのバランスはどこから来るのだろうか?
アドリブで演技をしなければならないコーナーがあり、
そこでのやり取りが大阪の演劇によくある、アドリブ漫才的なものになっており、
目を離せないものになっていた。
独特のジャンルをもったプロペラ犬。
オンリーワンである。