大きな効果音が印象的な舞台だった。
様々なイメージの断片がたくさんの部屋を通じて展開される。
暗転して場面が転換するのだが、
そのとき大音量で様々な音のコラージュをしたものが流れ
、見ていて、いや聞いていて気持ちのいいものではないが、
強く印象に残るのは確か。
タニノクロウ作・演出。俳優が13人。
タニノクロウのキャスティングはいつも面白い。
もちろん、常連の久保井研やマメ山田も登場しているのだが、
今回初めてタニノの舞台で見た俳優たちもみな個性的で面白かった。
独特な舞台の雰囲気がそのようなことから醸し出されてくる。
舞台は大きな二階建ての建物。
1階には小さな部屋がいくつかありすべて真っ白な部屋となっている。
調度品も真っ白。
二階は広い部屋が下手にあり上手はバルコニーになっている。
SMの風景やら、幼子が遊んでいる風景。
お金持ちの女性二人が不動産を買いに来た風景。
手術室のシーン。さわやかなテニスルックに身を包んだ女子大生と大学院生。
アメリカ大好きな太った男
や真面目を絵に描いたような受験生などが部屋ごとに登場し、
なんだかステレオタイプなセリフを発する。
部屋の印象はライティングと彼らの衣装などだけで変わり、
それによって様々なシチュエーションを描く。
これは、同時にパンチラ演劇である。
とチラシに書かれてあったように
確かにパンツが見える演劇となっている。
テニスルックの男は下着としてのパンツを
歴史的に紐解き僕たちにわかりやすく語ってくれる。
通常ではありえないポーズでパンツを観客に対して見せる女優たち。
足を組みかえるときにパンツが見えるようにしたり、
足を変なカタチに広げてパンツを見せたり、
テニスルックの女の子はベランダにもたれかかっていると、
舞台の下からなぜか風が吹いてきてスカートがめくれパンツが見える。
あまりのステレオタイプなことに笑いが起きる。
しかも、時間やシーンによって女優たちのパンツの色が変わっているのだ!
タニノのイメージの断片が次々と提示され、
僕たちはそれをのぞき見るようなカタチでこの情景を見る。
今回、いつもの庭劇団・ペニノの公演と違う。
フェスティバル/トーキョーの一環だけあって、
ある程度の予算がついて大がかりなことが舞台で実現できたのは
新たなタニノクロウの世界を見られたようでよかった。
新しい形のアングラ演劇とでもいうのだろうか?
そのような要素と、美術的に美しい要素が混沌となった舞台だった。
エロとグロは紙一重であり、そのどちらにも妖しい魅力があることが
この舞台などをみると実感として見えてくる。
しかしながら、あの効果音は凄かった。音響は中村嘉宏。