久しぶりのキノコ鑑賞。前回見たのは、
2008年の赤坂ARTフラワー08のイベントだった。
赤坂小学校の体育館で行われたそれは
アート作品と一緒にダンサーたちが踊っていたのが楽しいものだった。
キノコは基本的に能天気なほど楽しい。
そして、笑える。
シャープでかっこいいダンスと一線を画すのだが
見ていて元気になる。
その元気をもらえるのがキノコのとても素敵なところである。
チラシを見たら、キノコの結成は何と1990年とある。
ということは今年で結成20周年なのか!と驚く。
2002年3月に原美術館の中庭で行われた
屋外のダンス公演には驚いた。
キノコはいつもアート作品の前で一緒になって踊る。
衣装も含めてその色使いなどもすべてを含めて総合的なヴィジュアルを提示する。
今回の美術はモリオ。
衣装はダンサーたちと鶴見泰裕が手がけている。
ロビーでダンス好きで知られる、
小説家でありCMディレクターであるKさんをお見かけする。
思い切って声をかけてみた。贅肉のない身体が若々しさを保っている。
上演は1時間10分。
開演前、真っ赤なカーテンが少し左右に開いており、大きなラジカセが。
そこから音楽が流れている。
何故か、山伏が登場し、ホラ貝を吹き開演を知らせる。
カーテンが開くとそこは皆川明のテキスタイルデザインのような世界が拡がっている。
そう言えば、彼の展覧会がいま、
金沢21世紀美術館で行われている。
5月までやっているので機会があれば行ってみたい。
そのアート空間の中で、ダンサーたちが緩いダンスを始める。
様々な音楽が流れるのだが印象的だったのは、
アースウインド&ファイアの「ファンタジー」。
この曲が公演の中で何度も流れる。
再生速度を調整したり、アレンジ違いの曲を流したり。
「フライ・ミー・ツー・ザ・ムーン」も印象的な音楽だった。
二人がだらだらと会話をしながら身体組体操的なダンスをしながら
話が進んでいく試みも面白い。
三人目のダンサーは音声係として登場する。
ワイヤレスの高感度マイクをブーム棒につけて
ダンサーたちの間で二人の会話を拾うのである。
そのだらっとした会話から
突然音楽が流れ別のシークエンスが始まるのも興味深かった。
三人でユニゾンのように重なるように踊るものがあった。
マッドネスのHONDAのCITYのCMを思い出す。
1980年代前半のCMである。
エンディング美術セットがカラフルな街並みになる。
色とりどりの窓がきれい。その前で伊藤千枝と
5人のダンサーたちが踊るシーンが良かった。
それぞれがバラバラの踊りをしときどき融合しユニゾンで踊る。
力強く楽しいダンスだった。
音楽とダンサーと美術。
それさへあれば良かった。
背景のホリゾントスクリーンに映像が流される。
街の写真などのコラージュにアニメーションが追加されている。
映像が見ている人たちの想像力を失わせてしまう。
ダンサーを見るためにはあの映像が適切だったのか?
情報量が多すぎて処理出来ない。
せっかくの素晴らしいパフォーマンスなのに詰め込みすぎ?だったのか?
と思いつつ、最後の方はダンスにくぎ付けで気にならなくなっていたのだが。
ダンサーの山田郷美がチャーミングだった。