「トーキョー・リング」と題された、キース・ウォーナー演出の
オペラ「ニーベルングの指輪」の最終章。
誠に残念ながら、全4回の中の3回目「ジークフリート」を見逃してしまった。
「ラインの黄金」「ワルキューレ」は昨年観た。
朝、早く起きて当日券に並ぶ。
新国立劇場の当日券の列はいつも独特な雰囲気を持っている。
天井が高い劇場内のロビーに並ぶので、優雅で静かな時間が流れる。
初台駅前の「加賀」で朝食を食べる。
いつもの厚さ五センチはあるだろうか?
というかき揚げが載せられた「かき揚げそば」。
揚げたてのそれにおつゆが注がれまるで「おこげ」のように
ジュワワワワンと音を立てる。440円。
当日券Z席を確保。
10時過ぎから14時までぶらぶらとして時間を過ごす。
丁度、桜が咲いてきた頃でところどころ3分咲き以上に咲いているものもあった。
ここは渋谷区、意外と小さな公園が多い。
初台から水道道路を経て不動通り商店街を抜けて幡ヶ谷の六号通り商店街へ。
このあたりはまだ商店街がきちんと機能しており
個人商店が頑張っている。
それもこれも自宅で商売をしているから出来ることなんだろうな?と思った。
幡ヶ谷の甲州街道を渡り、旧玉川上水跡の散策路へ。
沿道には桜が植えられている。
毎年思うのだが興ざめな色のブルーシートが
花見の陣取りに敷かれていた。
茣蓙(ござ)や緋毛氈(ひもうせん)が敷かれた花見を見たいものである。
どこかの自治体か企業がやらないかなあ?
そうこうしているうちに3時間が経過し、新国立劇場へ。
Z席なので半分近くが見きれる、
でもホールでの音楽は平等に聞こえてくる。
オペラ劇場で聞く、フルオーケストラの音楽は聞いていて本当に気持ちがいい。
ヒーリングとでもいうのだろうか?
人間の奏でる音から発せられる電気を通していない音の気持ちよさを再確認出来る。
詳しい人はおわかりなのだろうが、
指揮をしているダン・エッティンガ―さんが非常に
評判になっていると聞いていた。
キース・ウォーナーの演出は現代的で斬新である。
冒頭で巨大なフィルムスプロ―ラ―が出てきて
そこからフィルムが垂れ下がっている。
映画への想いを感じさせる場面である。
このモチーフがエンディングへとつながっていく。
群衆のシーンが面白い。
肉屋さんか解体工場の職人さんのような衣装を来た男たち。
白ずくめでエメラルドグリーンの大きな防水の前掛けを着けている。
女性たちはそれに対比するかのように全身ピンクの上下。
まるで看護師を思い出させるような衣装。
スカート丈が短い。
また、手術着のような衣装を来た男が登場する。
以前、観た「ワルキューレ」でも
病院のストレッチャーを押しながらワルキューレの騎行のシーンを
演じられたのが印象的だった。
これら、病院のモチーフと映画のモチーフはどうして用いられたのだろうか?
この日は14時開演で終演が20時半少し前だった。
1日中気持ちのいい音楽に浸る経験が久しぶりに出来てリラックスすることが出来た。
エンディングでジグソーパズルの1ピースがはめられ世界は完結したのか?
そこがスタートなのか?
映画のエンディングを見ているのかオープニングを見ているのか?
謎に包まれながらも舞台は終焉を迎えるのだった。