前日にたまたまチケットがあるというお話をいただいて出かけていく。
何と前から2列目!これだけ前に座って見ていると、見ている方も緊張する。
前座は志ら乃。お相撲さんをテーマにした二題をマクラなしで。
続いて志らく登場。折り込みに、
森口博子芸能生活25周年のアニバーサリーコンサートに行った話が書いてある。
その時ミュージカル「アニー」の思い出話を語り、
森口博子が「トゥモロー」を唄い出した時に
二階席にいた「アニー」に出演した子供たちが立ちあがって一緒に唄い出したそう。
そばにいて震えた。と書いてあったのを読んで震えた。
マクラは豊田市でやった喬太郎さんとの二人会で行った落語は
東京でやるものとまったく同じようにやって観客の反応も同じだったと。
観客によっての反応はどこにいっても変わらないことを実感したそう。
豊田市という愛知県でもリテラシーの高い場所だから?
ということもあるのかも知れない。
しかしながら、日本国中がこうして均質化していっているのも事実なんだろう。
これから住む場所にこだわらずに働ける時代が来るのだろうか?
志らくは僕とほぼ同世代なのに昔の歌をものすごく良く知っている。
ませた子供だったのか?もともと本人が好きなのか?
映画好きだけじゃないんだというところが志らくの面白すごいところ。
ワンダースリーの歌を久しぶりに聞いた。
一席目は与太郎の出て来る「ろくろっ首」。
志らくの首がのびて行燈の油をなめるシーンは笑える。
その姿が面白い。狂気と紙一重の演技に感動する。
つづいて、傑作落語を聞いた。
「反対俥」(はんたいぐるま)と呼ぶらしい。
車でも人力車の車は「俥」と書くんだと知る。
これは、さらに荒唐無稽で面白い。面白すぎた。
万世橋を渡って上野まで急いでいって欲しいというお客さんと俥屋さんとの話。
変な俥屋さんが出て来る。最初は蘊蓄を語る俥屋さん、
そして、ものすごく威勢のいい俥屋さん、
その威勢のいい俥屋さんは音楽に合わせて俥を走らせる。
チャップリンの映画の引用か?
(※調べたら「殺人狂時代」のひげそりのシーンで行われていたらしい。)
ハンガリー舞曲のメロディーに合わせて、俥を引く。
チャーンチャラチャーンチャチャーンチャララ♪
リズムが変わるところで俥屋さんが左右の確認をするところや、
細い路地を走り抜けるところで身体を細くして俥を引いているような
シーンが圧巻だった。
そのシーンの解説を志らく本人が後でしてくれるのも楽しい。
一緒に見に行っていた人も全員があの「反対俥」は凄い!
と感心していた。
仲入り後、「一文惜しみ」。
これは「五貫裁き」とも言われているらしい。
どうも、講談をベースにしたときには「五貫裁き」というそうである。
そういえば一度誰かがやったネタを聞いたことがある。談春だったか?
忘れてしまったが、
八百屋を始めようとある商家に開店資金を借りにいったら、
その店の主人が一文だけを出してくれた。
それに怒った大家と八五郎さんは大岡越前の裁きを受けに行く。
結局、裁かれたのは毎日、1文を八五郎さんは主人のところに届け、
そのお金を奉行所まで届けるのが主人の仕事であるという裁きが下る。
毎日、毎日、夜中に八五郎から商家に1文が届けられ、
ゆっくり寝ることも出来ず
毎回1文以上する半紙に受け取りを書き八五郎に渡し、
毎日、町衆をやとい奉行所に行く。
町衆には毎回お礼を支払わなければならない。
毎日莫大な時間と費用がかかることがわかり
主人はついに根をあげるというもの。
この話、不思議な話である。
主人の料簡がいけねえとこうした裁きをすることは
現在のCSR活動などにつながっていくのだろうか?