東京ミッドタウンの中にフジフィルムの本社が移って来た、
それから数年が経つだろうか?
手入れの行きとどいたビルは決して古くならない。
森ビルではなく三井不動産の街づくりはまた違った個性がある。
もちろん三菱地所とも違う三社三様の街づくりが
東京のここかしこで行われている。
たまたま前を通りかかると、「昭和の風貌」展と題した写真展が行われていた。
昭和の有名人特に文化人と呼ばれる人や政治家、
スポーツ選手などがカメラで撮られた写真が展示されている。
それ自体でもう戦後昭和史となっており、
昭和の人々の記憶が蘇ってくる。
戦後17年(昭和37年=1962年)目に生まれた僕は
そこまで昭和について知らないか?
と思ったら以外に写真を通じて記憶の中に定着されていることに驚いた。
力道山や川上哲治の現役時代の写真や
銀座のBAR「ルパン」で胡坐をくんでスツールに座る
太宰治の姿などは生まれる前のものだろうが
過去の記憶が、自分が見た動画や写真とともに蘇ってくる。
写真とはそのように過去の記憶を定着させてくれる。
小津安二郎や黒沢明、川端康成をはじめとするたくさんの作家たち、
雑誌や新聞をこれらの写真が飾ったのだろう。
6人の写真家による150人の写真が自らの記憶を再生させてくれた。
写真にはそんなチカラがある。
出展写真家は土門拳、濱谷浩、林忠彦、田沼武能、熊切圭介、齋藤康一だった。