劇団☆新感線が旗揚げして30周年と聞く。
こうして続けて行けることが素晴らしい。
80年代の後半にはメジャーへの階段を上って行き、
今のスタイルの劇団☆新幹線トーンが定着してから、
もう20年以上が経つだろうか?
客層は若い人へシフトしているのかも知れないが、
多くの新感線ファンを獲得しているのは事実。
大音量で流れる音楽、大げさな効果音、
そして殺陣のシーンが必ずありアクションと
お笑いのセリフが交錯する。
これは舞台で俳優が演じているマンガであるとも言える。
日本の一つのオリジナルコンテンツの原型がここにある。
マンガ好きな海外の人が見ても
十分に楽しめるエンターテイメントコンテンツになっているのではないか?
と思う。
僕が初めて劇団☆新感線を見たのは、1981年か82年のことだった。
大阪の梅田にあるオレンジホールという劇場で観た「熱海殺人事件」。
そのころは、俳優の渡辺いっけいなどが所属しており、
演出のいのうえひでのりも自ら俳優として舞台に立っていた。
その面白さにぶっとんだ!なんじゃこれは!
というくらいの衝撃を受けた。
それ以来演劇が好きになり、演劇を見ることが習慣化されていったのだと思う。
面白いものを見ると絶対にそのジャンルが好きになる。
不幸にして不幸な演劇を見せられて演劇が嫌いだと言っている人に
何人も会ったことがある。
最初に出会ったものが劇団☆新感線で良かった。
いのうえひでのり作・演出の鋼鉄番長は近未来SFというのか?
アトムのように身体を鋼鉄にさせられた男、鋼鉄番長が
古田新太、演ずる理事長であり生徒会長の学校に侵入し
その悪事を暴くというもの。
その右腕となるのが「スケバン刑事」ならぬ
手にけん玉をもったセーラー服姿の浅見山さつき(坂井真紀)。
彼女は何故かたどたどしい土佐弁でセリフを喋り
そのわざとらしさが残る。演出の工夫だろう。
そして確かに劇中のセリフでも出て来るが
小劇場の俳優は顔が大きい。
僕も自分のことは言えないが(頭部が大きい)、
坂井真紀の顔の小ささが比較対象して印象に残る。
とはいえ、大きな顔ということは大きな劇場でも
その顔を認識しやすいということでもあるのかもしれない。
古田新太や高田聖子はその顔を一度見たら決して忘れないものになるだろう。
ストーリーは鋼鉄番長の橋本じゅんと坂井真紀が
学内の様々なところに侵入していくという単純なもの。
そこに様々なパロディネタが挿入されてくる。
中島かずき脚本いのうえひでのり演出の「INOUE KABUKI」とは
全く違う世界観が描かれる。
大阪の今はなきオレンジホールで観た時の
ばかばかしいことを徹底してやるという精神が
いまもフツ―に行われていることを、
いのうえさんの同世代人として誇りに思った。