変わり続けていかなけらば生き残れない。
環境に応じていくことによって進化しそして種が残っていく。
その場所の固有の環境に合わせて動物たちが生き残り
種が存続できるように変化しつづけていくこと。
それが進化ということであり。
ダーウィンは世界中を船で旅することでそのことに思いを至らした。
日本はガラパゴス化ガラパゴス化と最近良く言われているが、
そのガラパゴス島固有の種を見てダーウィンは進化論の仮説を立てたという。
本当のところはどうなのか?という議論はさておき、そうなのだ。
そして、文学座は創立60周年記念公演の第3段に
鐘下辰男に脚本をお願いした。
文学座がこうした作家の作品を精力的に取り上げ
新たな演劇スタイルを模索していることは称賛に値する。
まさに進化論である。
文学座も従来の「新劇」という枠から離れ乗り越え変化しようとしている。
そしていまの時代を描くのはどのような方法が適切なのか?
ということを模索しようとしている。
結果、本舞台はとても衝撃的な舞台となった。
その実験性は文学座のこれまでの常識を超えようとするものであり、
従来の文学座ファンにとっては眉をしかめるような
激しい暴力やセックスなどの表現があるのかも知れない。
しかしながら、これは一つの新しいスタイルであり
演出の高橋正徳はその試みに成功した。
とても面白いけれども、ヒリヒリとする演劇が完成した。
文学座の俳優たちが身体を張って演じ切り頑張った!
最早、新劇などというジャンルの垣根を越えた
極めて現代的な演劇作品となって昇華した。
今年、ヒットした映画「告白」や「悪人」にも似た露悪的なスタイル。
鐘下辰男は以前からこうしたダークサイドを
真っ正面から見つめた作品を多く書いている。
それを、演出の高橋正徳は
さらに過激に文学座のアトリエを目いっぱい使って表現した。
ここにはある種の現実が描かれているのだろう。
「ダーウィンの城」とは、ここでは東京都心にあるタワー型マンションのこと。
オートロックで監視カメラが至る所にあり全館空調が施されている。
バブルの頃から大規模のタワー型マンションが乱立した。
いまや、マンハッタンかと思えるような
たくさんのマンション群が都心のあちこちに建っている。
下町だった場所を再開発で建て替え大規模な高層マンションが建築され、
そこに住む住民と下に住む従来の住民との階層化が進んでいる。
月島あたりのマンション群を思い出す。
石田衣良はその著書「4TEEN」「6TEEN」で
まさに月島の高層マンションにいる子供たちと
下町のもんじゃ焼屋に生まれた子供たちとの対比を描いた。
しかし、鐘下の戯曲にはリアルなダークサイドの現実だけが丹念につづられている。
妻が局アナの夫婦。彼女の赤ちゃんが誘拐され子供はまだ見つかっていない。
大学教授と数十歳、年の離れた教え子の夫婦。
年下の妻は妊娠しており臨月の状態。
年老いた老婆と一緒に住むパラサイトな30過ぎの男。
二人で赤ん坊を育てているゲイのカップル。
そして、作家である男とどこかの大企業で働いている女。
女は子供を欲しがっているのだがなかなか子供が出来なくあせっている。
そこに、下の世界の父子が共同で防犯活動をしませんか?
と意を決して高層マンションにやってくる。
下町の男、金内喜久夫と
高層マンションの下層階に住んでいる
(多分そこの下町に住んでいて等価交換でここに暮らしただろう)女性、
吉野由志子の二人のエンディングシーンがいい。
鐘下辰男の痛烈なメッセージが伝わってくる。