ディスカヴァー・トゥエンティワンという
あまり知られていない出版社が出しているこのシリーズ。
新書風な体裁なのに1200円もする。
しかも、知名度のない新たな作家を
ネット上のブログから発見してきて書かせてみる。
ただし、テーマは「今」を扱っている。
何とも冒険心豊かで勇気のある出版社ではないか!
最近、面白い出版を志そうとする
新たな出版社が出てきているように思うのは気のせいか?
大手出版社にはない魅力がそこにはあると思うし、
出版の多様性がそこから出てくるといい。
既得権益のある大手取次や大手出版社は、
それらの出版社をつぶすようなことなく、
逆に応援して欲しい。
そうして、出版文化の多様性を容認することの方が
長い目で見れば絶対に両者にとっていい筈なのだが、どうだろう?
本書は約1年前の2011年1月に発行されている。
大手広告会社の近くの本屋さんなどには
いつまでも平積みで並べられている。
汐留にある、本屋さんで購入したら、
実はその前に同じ本を購入していたことがわかった。
1年遅れで読み始める。
著者は1974年生まれの今年40歳になるブログ作家。
ソーシャルメディアプロデューサーやインタビュアー(日英)と
自己紹介のページに書かれている。
UCLAを卒業して、そのままLAに住んでいる。
米国でのソーシャルメディアの事情を
細かに紹介してくれている。
ソーシャルメディア事情もやはり米国の方が
何カ月か早いスピードで進んでいる。
それはFACEBOOKやTWITTERなどの
起源を見ても明らかなのだろう。
アメリカ人は新しいものが好きな人の割合が多いのかな?
そして昨年の1月にFACEBOOKの創業者
マーク・ザッカーバーグを主人公にした映画
「ソーシャル・ネットワーク」が公開された。
そのあたりから
日本もソーシャルメディアの拡がる潮流があったのだろう。
3・11以降、そのソーシャルメディアへの流れが
爆発的に拡がった。
日本では、ソーシャルメディアを通じたところで
「絆」ということが意識され始めているというように感じる。
ソーシャルの最大の特徴はオープンでフラットなところ。
ここには組織の階級やしがらみ、権威などはなにもない。
ただ、個人があるだけだ。その個人同士のつながりを作るのが
FACEBOOKでありtwitterであるのだろう。
米国自身がオープンでフラットな社会なので
それが拡がることや実名を使うことには抵抗なく拡がっていったように思う。
日本は恐る恐る拡がっていったという印象は否めない。
こうした状況に著者の立入は警告をする。
日本でソーシャルメディアが浸透せず
ガラパゴス的に孤立してしまうのではないか?
本書の出版から1年が過ぎて、彼の心配は杞憂に終わり、
ある程度拡がって来ている。
ただ、そのスピードが遅いのも確かである。
韓国や、台湾、シンガポールなどのアジア諸国が
どんどんと追い越していくのを
ただ、じーっと見ているわけにはいかない。
そのためにはまず試してみようと著者は言う。
米国での事例などを詳細に解説してある読み応えのある良書だった。