日比谷線「入谷」駅。上野の次の駅である。
初めて降りた。地上に上がると大きなスカイツリーが見えた。
スカイツリーは今や、東京下町のシンボルでありランドマークとなっている。
スカイツリーの方向を見て
自分の位置を知ることがこれから普通になってくるだろう。
港区では東京タワーがそうであるように。
昭和通りを上野方向に歩いて行く。
駅前以外はあまり何もない場所。
1本入った筋のマンションの地階に上野ストアハウスはあった。
以前,江古田の駅前にストアハウスがあり、
消防法のことなどで継続出来なくなったことを聞いていた。
小劇場の小屋にしては
広いロビーとそこに置かれている給湯器などが
以前のストアハウスを思い出させる。
本公演に行ったのは、中山夢歩という俳優が出演しているから。
彼から丁寧な手紙をいただいた。本公演のことについて書いてあった。
その丁寧な手紙を読んで心が動いた。
仲のいい友人たちと3人で観劇させていただいた。
中山夢歩は自分の母親が経営している「ダウンタウン」という
酒場を俳優をしながら手伝っている。
僕たちはそこで、彼のことを愛情をこめて「ムーブくん」と呼んでいる。
「ムーブくん」は仕事のない時は「ダウンタウン」で働いている。
そしてこうした公演や映画出演、CM出演などがあるときには
そちらの現場に行く。
何かのきっかけで西村雅彦さんと知り合う機会があり、
今は彼の事務所「Orega」に所属している。
本公演で「ムーブくん」は酒場の店員を演じている。
毎日、やっていることなので身体の動きが自然。
しかし、この酒場、酒を出しているだけではない。
記憶を売ったり買ったりしているのである。
記憶のエッセンスが詰まった酒が供される。
それを飲むとその人は…。
というような思わせぶりなシーンがこの舞台にはいくつもある。
様々なシーンの断片が設定されており。
そのシーンが何度か繰り返し出てくる。
そのシーンとシーンとの関連性はあまり良くわからない。
そこもまたさらに思わせぶりである。
「ツインピークス」的な思わせぶりが何度も出て来て
そのまま放置される。
現世とあの世との境界があいまいな世界がここにあるのか?
全てがわからないまま進行していく。
様々な暗喩が呈示される。
そのイメージだけが呈示され、これもまた何の回答のないままに進んでいくのである。
不思議な舞台である。
白を基調としたセットや衣装は天国と地獄、天使と悪魔を対比させたかったのか?
22日まで。
劇場を出て、上野方面に行くと
魅力的なたたずまいのお店がいくつか見受けられた。
(以下、ウィキペディアからの引用)
※セレンディピティ(英: serendipity)は、
何かを探しているときに、探しているものとは別の
価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉である。
何かを発見したという「現象」ではなく、
何かを発見をする「能力」を指す。
平たく言えば、ふとした偶然をきっかけに閃きを得、
幸運を掴み取る能力のことである。