「人は自分が期待するほど自分を見ていてはくれないが、
がっかりするほど見ていなくはない」見城徹・藤田晋(@講談社)
前作の「憂鬱じゃなければ仕事じゃない」に続く第二弾。
藤田さんが本書の「まえがき」で書いていたが、
「今回は我ながらすごい集中力を発揮し、
多くの時間を費やしました。
何度も推敲し、自分では面白いものが書けた手応えがあります。」
前作が勢いで書かれたものならば、
本作は熟成された仕事論であり人生哲学の書であると言えよう。
見城徹が61年間生きて来て感じ考えてきたことのエッセンスがタイトルとなり
そのタイトルに対して見城徹の文章があり
さらにアンサーとしての藤田晋の文章がある。
この構造は前作と変わらない。
その質が深まっているのである。
二人ともに共通しているのは、仕事をすることは自分自身を生きる
と言うことと同義である、ということ。
そして、どちらも自ら自分の会社を立ち上げ
そこのトップとして四苦八苦しながらも頑張っている。
その現場の最前線から出てくる言葉は
リアルであり説得力に満ちている。
実際の経験から出ている言葉なので、嘘がない。
また、一見、華やかで世間の目から見れば羨ましいお二人だが、
それ以上に大変な局面を乗り越え今に至っているのだ、
ということが良くわかる。
自己の性格も含めての客観的な分析をきちんとしつつ
諸問題に立ち向かって行っている。
そういうものすごく高度なコミュニケーションを発揮することが
会社のリーダーになることなんだな!ということが良くわかる。
本書には印象的な言葉がたくさん出てくる。
例えば「縛りがあるから面白い」というお題で見城は、
何事も自由すぎるのもよろしくない、ものを生み出すのには縛りがある方が
有効だと思っている。CMに秀逸な表現が多く見られるのも、
製品やイメージを売らなければという強い制約があるからだ。…。
みたいな。
また二人の意見が異なる場面もあり面白かった。
「講演会、養成講座、人材交流会はビジネスマンの三悪」
という項では、藤田さんは、講演会は行く価値があるという。
結局はいかに学んでどう自分で行動するのか?ということ。
行くだけで安心してしまっては何も産まないというのももちろんの論理だ。
最後に見城さんが引用したテレビマンユニオンの創設メンバー荻元晴彦さんの言葉。
「すべての新しいもの、美しいもの、素晴らしいものは、
たった一人の孤独な熱狂から始まる。」