「続」から読んでしまって、読了後、ちょっと失敗したな、と思った。
「暴力団」(@新潮新書)から読めばさらに深く、
現在の暴力団のことが理解出来たかも、と思った。
「暴対法」以後、さらに条例として
各都道府県などが「暴力団排除条例」というのを作って施行した。
これが数年前のこと。
たとえば「みかじめ料」などを暴力団に支払うと、
支払ったものたちも罰せられるという。
堅気の人たちに勇気を持って暴力団と向き合いましょう!
という条例である。
暴力団と関係を持つことによって、民間の商売をやっているものたちも
不利になるということがいま実際に起きている。
暴力団としては、シノギをすることが出来なくなるわけであり、
彼らとしてはとても困った状況になる。
なかでも一番過激な街の福岡県北部の街では
実際にお店の経営者などが銃で撃たれたりしている。
その刃は、警察権力にも向けられ警察官などにも
銃が発泡されるようになった。
いままでは、警察と暴力団がある種のバランスをもって
「なあなあ」でやって来ていたことが、この条例後
崩壊しつつあるらしい。
では、この条例で「暴力団」を根絶出来るのか?
というと問題はそんなに簡単なことではないらしい。
とにかく種を絶やしたくないというのは、誰にもある本能だろう。
現在はその葛藤の真っ最中である、ということがわかる。
作者の溝口さんはこちら方面専門のジャーナリスト。
過去に暴力団から刃を向けられ怪我をした経験もある。
何人もの現役の暴力団員などにインタビューし本書は構成されている。
暴力団の本質とは、とても実質的であるということが良く伝わってくる。
「義理と人情」以上に、実際に金を稼ぎ、組織を維持しつつ
生き残っていくべきか?ということが詳細に記されている。
人間に必ず存在する暗部を認め、そこに商業価値を見出していく。
これが暴力団のシノギとなるんだな、ということが良くわかる。
また、本書では芸能界との関係や
警察はどうしているのか?ということにまで言及している。
著者の警察権力に対する憤りがストレートに伝わってくる。
警察官天下りの権益を確保する場所が
暴力団が存在することによって成立するという実体。
「なあなあ」の関係だけがカタチを変えて
残っていることに警鐘を鳴らす。