変なタイトルだな?と思っていたら
何とこの舞台には原作があることを知った。
「テヘランでロリータを読む」アザール・ナフィーシー著 市川恵里訳(@白水社)
劇場でこの本が売られていた。
著者はイラン人の女性。
テヘラン大学で教えていたのだが結局、米国に移住する。
組織になじまない人が会社を変わるように、
国家になじめない人は、移住しなければならない
というのもある種の現実なんだろう。
1995年のイランの大都市テヘランでの話。
イランの最高学府であるテヘラン大学で
外国文学を語る集まりが毎週木曜日に行われていたらしい。
イスラムの世界では木曜日が週末で、
金曜日から新たな週がはじまるらしい。
そこで女子学生たちは
ウラジミールナボコフの「ロリータ」を読む。
ロリコンという言葉の起源になった小説なので
この題名を知っている人は多いだろう。
ロシアの作家の妄想?が一般的に拡がっていった。
スタンリー・キューブリックが映画にしており
その「モノクローム」の映像は印象深いものだった。
「アイズ・ワイド・シャット」という
キューブリックの大人の性を描いた映画と対になるような作品だった。
北千住の「マルイ」の上にシアター1010劇場はある。
久しぶりの北千住。
日光に向かうときの、第1の宿場町と言われたこの街は、夜風が冷たかった。
丸井の中には飲食店や食品売り場、東急ハンズや紀伊国屋書店まであり
ここですべての用を足せてしまえる便利なビル。
劇場は四方から正方形の舞台を見降ろすようなカタチになっている。
時間堂はいつも演出の黒澤世莉が客入れをしており恐縮する。
14人の俳優が出て来て、正方形の外に座る。
俳優が演じるときは、その正方形の中に入って台詞を発する。
シチュエーションが細かく切り刻まれており
各シチュエーションがまるで映画みたいに散りばめられていく。
見ていくに従いそれぞれの女子学生のキャラクターなどが見えてくる。
大きく二つの流れが作られる。一つはテヘラン大学の女子学生たちの生き方。
そしてもうひとつは「ロリータ」という小説のもっているエッセンスの再現。
女優たちがロリータを演じるときに爪を噛む仕草がとても印象に残った。
舞台となった1995年から18年。
あの頃からイランも大きく変わったそうである。
イランの人口は何と740万!これだけしかいないのか!
と折り込みの紙を見て驚いた。28日まで。