あの、動物電気が20周年!個性的な俳優集団の集まりである。
それもこれも、作・演出の政岡泰志の眼力だろうか?
小林健一、辻修、そして森戸宏明。
こうした面々が20年間、動物電気の動物的な部分を支えてきている。
今回は20周年ということで動物電気メンバーと客演5人の女優からなる、
総勢15人の俳優たちが駅前劇場の狭い空間で動き回る。
女子実業団バレーチームの試合のシーンから本作は始まる。
その前に口上があり、20周年を記念して政岡代表から挨拶がある。
歌舞伎の口上をまねてやるのだが、そこからいきなりふざけている。
何年か後、バレー部の女子部員とコーチの小林健一が結婚し、
地方の古民家を改造したような家に住んでいる設定で
この舞台は進んでいく。
見ていて「動物電気」はギャグを行うために
ある既定のルールを利用する。
そのルールにのっとった表現をデフォルメすることによって、
その極端さで笑いを生む。
これが動物電気の方法論のメインではないのかな?
しかし、このわざとらしさは20年以上前の「大映テレビ」
そしてさらに遡ると、梶原一騎原作の漫画などでも行われており。
若い人はこうした表現が逆に新鮮に映るかもしれない。
というのは、ここまでデフォルメした演技をする小劇団って
いま、ほかに思いつかないから。
設定や物語が奇妙というのなら「大人計画」や「ナイロン100℃」なども
そうなのかもしれないが。
発声とか様子が明らかに変でおかしいというようなことを
政岡は積極的に抽出していく。
その俳優たちの出番をみんなが楽しみに見るという意味では、
出だしの口上ではないが、ある種、歌舞伎の形式に似たところが
あるのかも知れない。
補助席も出てぎっしりの劇場がどっかんどっかんと沸く。
いつもの休憩時に観客がみんな立ってやる体操の時間あり、
小林健一のアドリブ演技もある!
この回(駅前劇場の千秋楽)の小林健一は素晴らしかった。
あそこまでばかばかしくそしてあるテンションを10分近く保ちながら
演じられるのは小林健一と清水宏くらいしか知らない。
そして必ず小林は全裸になり舞台は終息を迎える。
今回もそうだった。大阪公演が21日にある。