若者たちが海外に行かなくなった、と最近ずーっと言われ続けている。
現在ほど簡単に海外にいけるようになった時代はない。
LCCなどの飛行機会社も登場しインターネットなどで
最新の情報が手に入り、宿泊先などもインターネットを通じて
現地の居候先まで調べることができるらしいのだ。
1ドル365円の時代は極端だが、1ドル200円を超えていた時代に
頑張って海外に行っていたことを思うと
ハードルはとても低くなっている。
著者の太田英基は、そういう時代に思い切って海外に飛び出し
いろんなものを見て、その経験をキャリア形成に活かそうとした。
もともと太田は中央大学の学生時代に起業している人。
「タダコピ」という言葉を覚えている人は多いのでは?
大学の近くに片面に企業などの広告などを印刷した紙が
置かれており学生はその紙をコピー用紙として利用する。
学生はただでコピーができ、企業は学生向けに広告が打てる
そしてコピー屋さんはそれを設置することによってコピー手数料を稼げる
というまさに「三方よし」のビジネスモデル。
現在、ただでネットが見られるのも、同様の
プラットフォームが完成しているからなのだが、
そうした仕組みを先進的に取り組んだ一人がこの太田英基という若者だった。
彼は、1985年生まれなので今年、28歳。
その太田が「タダコピ」の会社を辞めて2年間で50か国を旅した。
最初は英語などがまったくできなかったのでフィリピンに英語学校があり、
そこに通ったそうである。
宿泊と食事つきでマンツーマンに近い授業があり
月10万円くらいで、学べるらしい。
太田はこうした英語の勉強をするための本「フィリピン『超』格安英語留学」
を出している。
太田が語っているのはグローバル化が進む今、
海外の若者たちと交流してきて、働く場所などにこどわらない
生き方があるんだよということを提示してくれている。
そして、英語力とともに求められるのが専門性であるということ。
この「専門性」を持つということは
最近のどの本を読んでも書かれている。
逆に専門性を持たないということは
交換可能な人材になってしまうということ。
そうなるといかに安価に雇用するか?とか
いかにITやロボットに代行してもらうか?という流れになってしまう。
だからこそ、自らの好きな分野を探し出し、
それを「専門分野」にしなければいけないと太田は力説する。
また、日本人が海外で働く際に圧倒的に弱い部分を太田は指摘する。
引用する。
日本に欠けているのは、総合的な営業力、提案力、交渉力だろう。
技術はあるのにそうしたことで日本は諸外国との競争に負けてしまっていると。
こうした話に若者たちの未来はどうするのかのヒントが隠れている。
最後に、「タダコピ」の会社にオフィスをただで貸してくれた
経営者の言葉を引用する。太田のオフィス使用などのお礼のメールに対する返信。
「いいんだ。お前らを見ていると、昔の自分を思い出すようでな。
別に恩返しなんか考えなくていい。
二つだけ。感謝の気持ちを忘れないこと。
志を高く持つこと。それさえ守ってくれればいい。頑張れ。」