新人で入った当時の会社の先輩が、QVCのバイスプレジデントをされており、
生放送ができるスタジオ付のオフィスがあるというので見学をしに来ませんか?と言われて訪問。
いまでは千葉ロッテマリーンスタジアムも
ネーミングライツで「QVCマリンフィールド」に変わった。
そのスタジアムと海浜幕張駅との間に
大きなQVCのロゴが入った地上7階建てのビルディングがある。
アメリカの有名なデザインオフィスの手になるそれは自然採光を取り入れ、
太陽光発電などを導入した環境にやさしく
働く人にもやさしい作りになっていた。
ここでは、情報公開をできるだけしょうという会社の方針なのか?
外からいらした一般の方々に
スタジオなどを見て回ることのできる見学コースが用意されている。
いまや社員数1600人を超える企業。
QVCを知らない人の方が少ないのではないだろうか?
放送開始からわずか12年目で年間の売上げ規模は約1000億円。
24時間365日生放送される品揃えは、大手百貨店以上。
ここではマーチャンダイジング部門の商品の選定や開発から始まって、
それをどのように仕入れ、厳しい品質検査を行い
番組を通じてリアルタイムでどのように売り切っていくのか?
というシステムが緻密に構築されている。
民放キー局並みのスタジオでマルチカメラで
その番組を日本の3400万世帯に生放送、放送を見た視聴者からコールが入り、
注文を受ける。もちろんコールセンターも24時間稼動している。
そして商品の売れ行きが数字になって見え、
どんどんと売れていく。
在庫がなくなるまで売り切ると、次の商品の番組となる。
化粧品や美容器具、ファッション、キッチン用品のようなものから、
高額なものはジュエリー、メルセデスベンツまでがQVCの放送を経由し
て売れているらしい。
特徴は生放送ということ。
番組を見ていて在庫がなくなりそうになると、
思わず買ってしまうという心理を突いている。
リアルタイムのTVショッピングならではの盛り上がりが、
買い物をエンターテインメントにしている。
それをQVCでは
「FAN SHOPPINNG」
という言葉で表現するのだそうだ。
お買い物の楽しさ、豊かさを伝えたい。そういう意味らしい。
だからQVCでは、番組のエンターテインメント性やお客様
と触れ合うリアルイベントにも力を入れている。
一度購入していただいたお客様にいかに長くファンであってもらえるか?
それが企業と顧客のエンゲージメントを強くする。
そうしてファン、つまりリピーターが毎年増えていき
結果的に売り上げが毎年伸びていく。
スタジオでの撮影は数台のカメラ副調整室にいるカメラマンが一人でやりくりする。
無駄と思われるものを極力削減し、そのコストを顧客サービスや
より視聴しやすい環境創りに充てている。
一番、驚いたのがここで商品などを紹介するテレビに出演している
ナビゲーターと呼ばれる司会者やモデルが全員、社員!
社員だからこそできるのだろうか?
副調整室から話される言葉を聞きながら、
細かいスクリプトもなしに1時間の生番組を進めていける
QVCのナビゲーターのスキルは
フリーランスのアナウンサーのそれとはまた別のものと先輩は語る。
こうしたビジネスモデルを全て自社の設備、
リソースで行っているQVC恐るべし!