吉成真由美のインタビューに米国の碩学である6名の学者が答えたインタビュー集。
本書はNHKで番組にもなり、爆発的に売れているらしい。
答えた6人はジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、
オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、そしてジェームズ・ワトソン。
吉成は元NHKのディレクターでありマサチューセッツ工科大学を出て、
ハーバード大学院の心理学脳科学の修士課程を修了している。
彼女自身ものすごいキャリアの持ち主。
その彼女が学生時代に学んだり興味を持った
米国の人にインタビューしているのだが、
インタビューイーに対してとても良くリサーチをされており、
その質問が適格で興味深いからこそ本書はさらに奥の深いものになった。
とてもわかりやすい文章で構築されている。
しかし、そこで語られている内容は深く激しい。
こうした、大変な作業をやった本書が売れてくれるのは喜ばしいばかりである。
吉成が中でも共通してインタビューをしている項目がある。
宗教的なものについて、と教育について。
こうした質問は人間の根源に迫るものである。
特に教育については現在、自分自身が
教育事業に身を置いているのでとても興味深く読んだ。
インタビューに答えた学者たちは1920年代から30年代生まれがほとんど。
ということは、70代から80代のいわゆるおじいさんと呼ばれる世代の人たちである。
しかし、彼らの発言は過激でストレートで的を得ており、新しい!
ある専門性を深く掘り下げ考え続けていることにより
年齢の持つ限界などが取り払われていくのだろう。
そういう意味では高齢化社会を見据えた書としても
本書は有効に機能するのではないか?
彼らは現実を深く広く知っているだけに、
これからの未来をも予見する能力が備わっている。
本書を、人生のできるだけ早い時期に読むことをお勧めしたい。
そこには多くの発見があり
ここで取り上げられた学者の著書を読んでみたいというきっかけにもなる。
知的好奇心をとても刺激される。
最後に脳神経医であり作家でもあるオリバー・サックス(1933年生まれ)の
発言の一部を抜粋する。
私自身も書き物をしたり考えたりすることに没頭しているとき、
あるいはピアノを弾いたり音楽に浸っているとき、
神経症やうつ病が消えて、時間というものを意識しないで
平和な時を過ごすことができます。
われわれは誰もがそういう時間を必要としているのです。