この女体シェイクスピアシリーズもこれで4回目になる。
若い女優だけで新たなシェイクスピア劇をやろうという
演出の中屋敷法人の意欲的な試み。
こうして、このシリーズが続いており、毎回完成度が上がってきている。
続けるということの効用がここにあるなあと感心する。
柿喰う客の看板女優、深谷由梨香がリア王を演じる。
男性用のスーツを着て口髭をはやしている。
まるで宝塚歌劇のようでもある。
そして、本作では歌劇の要素が多分に取り入られ
舞台の多くが歌で構成されている。
シェイクスピアのことについて原文も含め
とても良く知っている中屋敷の歌詞でオリジナルの歌が作られている。
なかでもエンディングシーンの歌が印象的だった。
リア王でシェイクスピアが書いたセリフである
「Look on her, look, her lips」
という言葉がその発声も含めて効果的な演出となっていた。
女体シリーズの中でもこれは
特に官能的な要素が強いものとなった。
女体(身体)が全面に出てそれを感じさせる演出。
胸を強調した衣装や、ヒップを突き出すポーズなど、
これはある種のグラビアなのか?
若い女優達15名が円形でしかもらせん状になったバベルの塔のような舞台を
いくつも配置を変えて動きまわる。
新良エツ子の歌がいい!おっぱいにものを載せるのが特技の彼女の発する歌が
この舞台のミュージカル感を強調する。
そして、これらの歌に乗せて、リア王とその家族のどろどろした
愛憎劇がわかりやすく語られる。
リアの物語の骨格だけを残してわかりやすく戯画化しているので
、ちょっと笑ってしまうところもある。
それを中屋敷はアフタートークで異化効果と言う。
えええええ!こんなことってどうなの?
という突っ込みがリアをミュージカルにすることによって見えてくる。と。
平気で親を裏切り兄弟が仲良くしない、
そして最後には一家が全滅してしまうという悲惨な物語を
敢えて中屋敷はミュージカルという形にしてその奇妙さを強調した。
リア王の持つそうした側面をこの舞台ではあえて強調しかたったと聞いて
なるほどなああ!と感心した。
音楽監督が若き女優達にあなたたちは
俳優としての演技ができているのだから
この舞台では、女優たちは俳優として懸命に唄えばそれでいいんじゃない!?
と言われたという言葉を副代表の七味まゆ味がアフタートークで話していたのが印象的だった。
また、今回の舞台で葛木英の新たな側面が見れてよかった。(笑える!)
17日まで。