柿喰う客、初の下北沢公演!しかも、本多劇場!
そして初日から補助席まで出る始末。
1週間公演で本多劇場満席!柿喰う客の勢いを感じる。
そして本公演は客演もすごい!
篠井英介さんをはじめとする4人の客演と
6人の柿喰う客オリジナルメンバー!
1年半の公演を待ってました!
という方も多かったのかもしれない。
世代を超えての観客が集まっており
大ブレイク寸前の予感を感じる。
いづれにしても独特の、あそこならではの舞台という
独自性を出すことがどの芸術表現をとっても大切だということがわかる。
本作では作・演出の中屋敷法人が新たな表現に挑戦。
宇治拾遺物語などの日本の物語文学を柿喰う客的に翻案したもの。
「まんが日本昔話」の柿喰う客版とでも言えばいいか?
とにかく予定調和で終わらなくおどろおどろしい物語がそこには内奥されている。
種の保存という生物学的なテーマが帝を中心としたこの国に
昔から横たわっているのは事実。
そうして帝の伝統が何年も続いている。
そこにかぐや姫伝説や桃太郎伝説などの物語が
実際はこうだったんじゃないか?という中屋敷の妄想も含め描かれる。
猿と人がまぐわい新たな子孫を残そうとする。
かぐや姫を手籠めにしたいがために実の妹を猿たちに差し出す兄。
これって日本昔話という形を借りたシェイクスピア劇なの?
というような趣き。
さすが、女体シェイクスピアシリーズなどを
何本も手掛けている中屋敷ならではの物語展開。
その展開の激しさで
30分を過ぎるあたりから物語世界にぐいぐいと惹きこまれていく。
まぐわい子孫を残すということがテーマなので
エロチックなシーンがいくつも出て来る。
その描き方がダンスを主体としたある記号的な動きをベースにしているのでいやらしくも美しい!
そういう世界が描かれる。
言い方を変えるとある種、猥雑な世界がそこに拡がっている。
深谷由梨香の体当たりの演技は肉食的なエロスを感じる。
どこか沢尻エリカを彷彿とさせる美形の鉢嶺杏奈がかぐや姫の役をしている。
そのツンデレな感じがまたいい。
これはある種、セックスを大きな物語世界の中心に置いて描いているものでもあり、
江戸時代あたりまでの歌舞伎はこうした猥雑さがいっぱいあったなんだろうなああ!
と思いながらこの舞台を見ていた。
セリフもケレンミのある七五調で、七味まゆみの語り方などがまさにこれは!歌舞伎か?
と思わせてくれるようなものだった。
木ノ下歌舞伎にも似た世界を中屋敷は新たなスタイルで追求を始めている。
篠井さんの語りもいい。
2月4日まで、その後、金沢、大阪公演がある。