46分。先月4月にドイツの第21回シュトゥットガルト
国際アニメーション映画祭(ITFS)の長編映画部門「Ani Movie」で
最優秀賞を獲得したのをニュースで見た。
この映画自体の公開は2013年5月。
46分という短編なので入場料1000円という特別価格で上映されたらしい。
このニュースを見て、そう言えば、昨年バルト9かどこかの
映画館でこの映画の予告編を観たなあとぼんやりと思い出していた。
今、新海監督はTVCMの仕事も手がけている「大成建設」のCMや、
キュンキュンするような男女の大学受験をテーマにした「Z会」のCMが現在オンエアーされている。
制作スタッフのクレジットを観たときに、新海さんがCMを作っているのを知って驚いた。
CMはこうした才能の実験の場でもあったし、
これからもそうした場であり続けて欲しい。
そのためにどうプロデュースすべきか、
ということが制作会社にも広告会社にも求められている。
もちろんそれを理解し賛同していただける広告主があって実現できる。
Z会のものは120秒の長尺ものがWEBで見られるので是非、ご覧下さい。
さて本作の主な舞台は「新宿御苑」である。
僕の勤めている映像テクノアカデミアは「新宿御苑駅」大木戸門口から
歩いて数分の場所にある。
実は、新宿御苑には1度しか行ったことがない。
この映画を見て、雨の日の「新宿御苑」に行ってみたくなった。
そういえば、新宿2丁目にある「bura」というバーの早川さんが
以前「新宿御苑」の年間パスポートを持っており
信濃町にある家からお店まで新宿御苑の中を歩いて通勤されている、
というのを聴いてなんて素敵なんだろう?と思った。
京都の蹴上でギャラリー「モーニングカンパニー」を運営している
友人夫婦は自宅のある南禅寺から蹴上のギャラリーまで、
京都市動物園の年間パスポートを購入して通勤に利用しているという話を聴き、
これもまたええなあ!と思ったのを思い出した。
雨の新宿御苑の日本庭園の中にある屋根のある休憩場所が
この映画の主な舞台。
靴職人になりたいという夢を持つ高校1年生と、
雨の日にここでチョコレートをサカナにビールを飲む27歳の女性が出会う。
そして、この二人は…。
という話。
新海さんは自らアニメの舞台となる場所にデジタルカメラを持ってロケハンに行く。
アングルなども自分で切っているのだろうか?
アニメなんだけど実写みたい!
というと語弊があるが、実写の風景をアニメの技法で抽象化していると言った方が正解かも。
抽象化して美しいものだけが残される。
いちばん驚いたのは雨と濡れた地面や床の描写である。
傷つきやすいココロを持った女性と純粋な少年の純愛物語。
まさに新海誠ワールド全開のこの作品が1年経って
こうして世界中が認めるアニメーションフェスティバルで認められてよかった。
日本のアニメーションのレベルの高さと独特の創作術は
マンガも含めて世界に誇れる文化として先端を走り続けている。
そのトップランナーの一人として新海誠監督は確実に仕事をし、走り続けている。