三谷幸喜の創作のすべてがここに載ってるのではないか?
というと言いすぎだが、実際、そこまで語ってくれるのか…。
と思えるほどの濃い内容のインタビューだった。
これが本体価格1000円(税別)はとてもお安い。
映画「清州会議」の公開に合わせて大特急で制作をされたらしい。
松野さんは三谷さんに十数時間にわたるインタビューをして、
その原稿を起こし、本書を書き上げた。
書き上げた正味の時間は何と二週間!
二週間の中で、ここまで内容の濃いものに仕上げることが出来たのは
元ABネットワークの芸人さんであり小説家でありライターである
松野大介のチカラ。
三谷さんも松野さんがインタビューしてまとめるのならば、
ということでこうした本の出版を了承されたらしい。
三谷さんが学生時代(日大芸術学部)にアルバイトをしていた放送作家時代。
並行して1983年に自らの劇団「東京サンシャインボーイズ」を立ち上げた。
「やっぱり猫が好き」のドラマから始まり。「サザエさん」のエピソード!
そして、サンシャインボーイズの出世作ともなった「12人の優しい日本人」
舞台版から映画化、
その後、フジテレビのテレビドラマの脚本を書くようにな
り「振り返れば奴がいる」から始まって「警部補・古畑任三郎」の大ヒットを迎え
「王様のレストラン」で三谷幸喜脚本のフジテレビドラマ頂点を迎える。
もちろん「今夜、宇宙の片隅で」や「総理と呼ばないで」などの意欲作も
たくさん制作されたが、
その後、三谷さんは自分の書いたものを自らの手で演出し
実際にカタチにするようになる。
映画「ラジオの時間」から始まる映画監督としての三谷幸喜。
「出口なし!」で突然始めることになった舞台演出家としての三谷幸喜。
そして「HR」や「大空港」などでは自ら番組の企画をし、監督までも行う。
本を書いて最後の仕上がりまで面倒を見ることは大変なことである、
が、三谷さんは自分の好きなことだからと言い切る。
他に趣味のようなものがなく、こうしてある制約の中で
創作を続けていくことが自分にとって幸せであると言い切る。
そんな、三谷さんが、赤裸々に自分の創作時のエピソードや
演出や脚本についての自らの分析を語る。
客観的に自らの創作方法をこのように語れるということが、
優れた制作者の証であると思うのだが、みなさんはどう思われますか?
また、三谷さん以上に熱く、創作をやろうとする人が居る現場は
その作品がさらに良いものになるという言葉が残った。
特に、プロデュースしている人たちの熱意や度量の広さ、
実行力によって、最終的な制作物が大きく変わると言うことを
三谷さん自身がとても良く分かっているということが、
三谷幸喜という人物が長く第一線で活躍し続けている
最大の理由なんじゃないだろうか?