作・演出、柴幸男。
ままごとの最高傑作のひとつでもある「わが星」が誕生した
この三鷹で新たな試みが行われた。
オーディションで選ばれた10人の高校生が出演し、
同じく、高校生のスタッフたちとも一緒になって舞台を創り上げていくというプロジェクト。
夏休みならではの企画。
この日も多くの観客で埋め尽くされた。
10人の高校生キャスト以外に数人の高校生スタッフがおり、
劇場ロビーには高校生スタッフの書いた「稽古場日誌」が掲示されている。
よくもまあ、こんなに詳細に記録したなあ!
と感心するとともに、それを全部読んだ柴幸男が
その日誌のすべてに赤ペン先生のようにコメントを寄せていた。
一方通行ではない演劇の制作を目指したかった!
と柴さんは語っていた。
その思いの表れがこうしたカタチになって様々なところで現れ出たのだろう。
上からの一方通行だと演劇の創作活動にとって良くないと柴さんは語り、
極力そのスタイルを目指して今回の演劇制作を行われたのだろう!
ある高校の音楽室が舞台。
来るべく学園祭に向けて音楽とダンスと演劇がミックスされた出し物をやろうと
3学年合同でやる練習の日。
この学校は地球にあるのだが温暖化で人類は火星に移住を始めていた。
もう大多数の人類が移住を済ませ、どんどんとこの学校もこの街も
人口が減っているという設定。
どこかの国の少子化社会のいきつく先を見ているようでもある。
キャストの高校生たちは
どのような基準で選ばれたのか知らないが、
キャストが決まってから、
柴さんがあてがきされたのだろう。
それぞれのキャラクターに合わせた役になっており、
名前もキャストの名前から取ったのでは?というような役名になっている。
いわゆる、等身大を描いているわけだが、
その等身大を演じるというハードルをこの子たちはどのように乗り越えていったのか?
何人かのキャストは本当にうまく、良くここまで稽古して完成度を高めていったものだ!
と感心する。
その中でも笑ったのが1年生女子を演じるココ役の西田心。
ギャグのセンスハンパない!
いきなり白目をむいたり、床に落ちたアイスを拾って食べたり、
瞬間的な反応がむちゃ面白い!
「あまちゃん」の時の能年玲奈にも似た。
天然なのか意図してなのかわからないが、とにかく魅力的な役だった。
今回のキャストの10人の高校生の中で男子は1名のみ。
こうしたことに男子は興味を持たないのかもしれないが、
シャインと呼ばれる生駒元輝くんの存在が
この舞台をさらに奥深く、面白いものにしてくれた。
スピカ役の礼内茜梨はただただうまい。
柴さんの「わが星」に出て来たシークエンスが登場し、この舞台につながる。
「わが星」が好きな人は、この「わたしの星」もきっと好きになるに違いない!
31日まで。
ちなみに30日・31日は三鷹市の阿波踊りが駅前商店街で行われる。