傑作!そして大爆笑!笑いの中にペーソスがあり人生の滋味を感じる。
そんな舞台だった。
土木作業員たちがこの舞台の主人公。
作・演出は赤堀雅秋。
そしてSHAMPOO HATではいつも赤堀さんが名俳優でもある。
今回もスポーツ刈りにして色眼鏡をした赤堀さんがそこに居た。
むちゃむちゃ似合ってる。
この劇団の男優たちのキャラクターが僕は大好き。
よくもこんなにキャラの濃い人たちが集まったなああ!と感心する。
小玉貴志、日々大介、野中隆光。
ここに今回は客演で池田成志などが華を添える。
女優では以前からの劇団メンバーの滝沢恵、そして遠藤瑠奈。
この二人は対照的なキャラクター。
そして客演に銀粉蝶という豪華なキャストである。
劇場は観客で溢れており
もうこの劇団がスズナリでやり続けるのは上演回数を増やすしかないのでは?
と思い至った。
しかし、それでも赤堀は今回の舞台の折込のあいさつにこんなことを書いている
「もしかしたらこれが劇団の最後の公演かもしれない。」
と
劇団を維持していくことの大変さとやっていても
なかなか食っていけないという現実がある。
その状況が40歳過ぎまで続くと、これからどうなるのだろうか?
と考えてしまう自分は確実にいるだろう。
しかし、そういった現状とは裏腹に、舞台が素晴らしい!
観客の心をわしづかみにし、離さない!
独特の間と、セリフ。
そこに俳優がいるだけで面白い舞台なんてそうない。
劇場は爆笑の渦だった。
人によって受ける箇所が様々で
その奇妙な空気の中で始終苦笑や大笑いがそこここで聞こえてくる。
土木作業員たちのある日の昼食から夜中までの半日を描いたもの。
むさくるしい男たちのロードムービーみたい。
昼食でのエピソードから始まり、いくつものシーンが時間軸に沿って構成されている。
赤堀の元妻(黒沢あすか)の家に冷蔵庫を貰い受けに行こうとする
土木作業員の仲間たちと赤堀、
日々大介の弟や池田成志の妻などがシーン毎に登場する。
そのやりとりがいちいち面白く笑いを誘う。
哀愁のある笑いのロードムービーとでも言うのだろうか?
20数年前、ジムジャー・ムッシュの映画「ダウン・バイ・ロー」を見て
笑い転げたことがあったが、
この舞台もジムジャー・ムッシュの描く世界にも似た奇妙さがある。
その世界観が日本の地方都市?の誰もが思い当たるような人たちが登場する風景に置き換わっており、
その親近感がさらに笑いを加速させる。
絶対見て損はない1時間50分です。9月23日まで。