水素74%第4回目の公演。作演出は田川啓介。
本作のチラシの後ろには「ナンパについて書こうと思います」という文言が書かれている。
「ナンパ師」というのがいると、
ドキュメンタリーディレクタークラスの生徒から聴いたのだが、
そうした人を描く話なの?
と想像して見に行ったら
まさに男二人が「ラウンド1」の前でうろうろしているシーンから始まった。
男二人は田村健太郎と用松亮。
若い田村とアルバイトしながら30代を向かえてしまった用松。
さて、これからどうなるのでしょうか?
最初に女がこの二人に声をかけてくる!
と思ったらその女は「ラウンド1」の定員だった。
店の前で何もしないでたむろするの店にお客さんが入りにくくなるので、
やめてもらえます?とのこと。
このエピソードをきっかけに脱力ギャグが続く。
この脱力した独特な世界観が「水素74%」の魅力でもある。
次に現れたのは鄭亜美(青年団)と島田桃依(青年団)の女二人連れ。
亜美ちゃんはかわいいのだが、実は人妻。
島田はメガネをかけており、そうでもないという設定の二人連れ。
ここでついに、先輩の用松が声をかける、
どのように声をかけるのかはお楽しみ。
場内は爆笑だった。こう来たか!?と驚き
笑いながらもナンパの行方を見守るわたしたち。
間がもたなくなって、アルバイトの後輩に助けを求める用松。
かなり怪しい二人であるということと、
亜美ちゃんを自宅に連れて帰るというミッションを帯びた島田。
島田は断ろうとするのだが。
亜美ちゃんは、ご飯おごってくれるんなら別にいいんじゃない?
みたいな乗り。
そんな乗りの亜美ちゃんだからこそ島田がガードして早めに自宅に!
という空気が崩れていく。
その得も言われぬ空気がいろんな人の笑いを誘っていくのでは?
解釈が多様な空気とでもいうのでしょうか?
そのただなかに立つ4人の俳優たち。
その後、なぜかの勢いで亜美ちゃんと用松だけがご飯を食べに行くことになるのだが。
その後、残された島田と田村は、どうしよう?となり積極攻勢に転じる島田!
それがまた新たな独特空気を作り出す。
この舞台はこれだけの設定では終わらない!
「コンタクト」という表題のゆえんか?
未来からやってきた未来人のカップルがこの場所にやってくる。
植田崇幸と後藤ひかり。
妖怪ウォッチみたいな大きな腕時計をしている。
アップルウォッチが発表されたので
こうしたデバイスがこれから拡がっていくのだろうか?
それにしては手にガチャガチャから出てくるような
透明のボールを着けているようにしか見えない。
二人は全身銀色のスーツを着ている。
この人たちは実は?という設定で、
その詳細はセリフでは語られないが、観客は舞台を見ながら想像する。
そうして、この未来からの人たちは、こういうことだな!という確信を持ち、
その「コンタクト」のシーンが妙に印象的なシーンとなる。
だらだらと生きていても未来とはつながっている。
田川はまたここで何を描こうとしたのか?
いつも謎に包まれて舞台が終わるのが「水素74%」の大きな魅力のひとつでもある。
あー脱力、脱力。