今年の文化庁メディア芸術祭。
ネット時代になって、どのように受賞作を見せていくのがいいのか?
という工夫が問われるようになった芸術祭となった。
2週間の間ほぼ無料で行われるこのイベントに
広告やメディア業界コンテンツ業界が注目する
イノベーティブな事例があるのでは?
と新しいことに興味がある人たちはこぞって出かけていった、展示会だった。
しかし、ネットが発達しスマホの普及で
どこでも動画などが見られるようになり、
その価値は別のやり方にシフトしていくんだろうな?ということを思った。
数年前から会場スペースが半分になった。
その代わり、スーパーデラックスというスペースで夜のイベントが行われたり、
六本木シネマートでは上映会が行われてたりする。
実は、その六本木シネマートが
今年の夏前に閉館されることが決まったらしい。
このメディア芸術祭には4つのジャンルがある
「アート」「エンターテイメント」「アニメーション」「マンガ」という
日本が誇るクールジャパンコンテンツなどが含まれたもの。
今回、個人的に一番面白いと思ったのは「信濃毎日新聞社」の
10分弱の鉄拳さんの描いた絵をアニメーションにしたもの。
長野のリンゴ農家に生まれた少年が主人公のドラマ。
10分に三十数年が凝縮されている。
ストーリーはまるで倉本総の「北の国から」を早送りで見ているような感覚。
デジタルが行きつくと、
こうしたストレートでアナログな関係を扱った表現に惹かれるということが
あるのかも知れない。
デジタルテクノロジーを使った実験的な試みは、
実はこうし芸術祭に出品される前に
すばやく世間に出回って
使われているというのが現実ではないだろうか?
ここは、それを確認する場所なのかも知れない。
そのような現在の動向を考慮して
今後の文化庁メディア芸術祭の運営ややり方を考え直さなければならない。
そういう時期に来ているのではという思いを強く持った
今年の文化庁メディア芸術祭だった。