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2013年に上演された舞台の再演。 この舞台をきっかけに「マームとジプシー」は 多くの人が知るところとなり、 作・演出の藤田貴大は「BRUTUS」の表紙を飾るまでになった。 30歳の藤田がいままで培った演劇の技術を総動員して創作した舞台となった。 初演とはまったく印象が変わり演出も構成もスタッフもパワーアップしていた。 そして特筆すべきは、今回の出演者のなかに 映像テクノアカデミア、声優・俳優科の卒業生の中嶋祥子が出演していること。 前作のKAATで上演されたマームとジプシーの公演で チラシ配りをしている人が何と中嶋だった。 「ええええ?何でここにいるの?アルバイト?」と聴いたら、 「COCOON」のオーディションに受かってこんど 出演することになったと聴いた。 「すごいねえ!」と言って、 この日、友人たちと見に行くこととなった。 この日まで、チラシをちゃんと見ていなかったので、 もうひとつ驚いたのが飴屋法水さんが出演しておられたこと。 そういえば「小指の思い出」を藤田さんが演出したときに 飴屋さんが出演されていたことを思い出した。 その縁だろうか? 今回、飴屋さんは音響操作と出演の両方を同時に行われていた。 飴屋さん自身、ずーっと以前に舞台の音響を担当されていたことがあり、 その時の経験が活かされたのでしょうか? 味のある見た目の美しい方である。 「まれ」に出演している田中泯などと並ぶ個性的な俳優だと思う。 そして素晴らしい作家でもある。 ちなみに昨年の岸田戯曲賞は飴屋さんが「ブルーシート」という作品を お書きになって受賞されている。(残念ながら未見) ロビーに入ると「COCOON」の原作者でもある 漫画家の今日マチ子の原画がたくさん飾られている。 少女漫画的な画なのに沖縄戦争の激しいシーンなども描かれており そのギャップがすごい。 そして、さらに今日マチ子の新作がたくさん置かれていた。 上演時間2時間。 舞台は大きく分けて二つに分かれる。 前半は女学校の生徒たちの学校での何気ない交流が描かれる。 飴屋さんを初めとする男性俳優たちは黒子的な存在である。 黒子のひとりは現在に生きる若者であり 藤田さんの写し鏡のようでもある。 オロナミンCを飲む30歳の男性。 時代は昭和20年前に移り沖縄の女生徒たちが描かれる。 女教師と女生徒たち、縄跳びをしたり授業を受けたりなんだかわかない遊びをしたり、 登下校や廊下ですれ違ったり。 空間演出がこれまでの「マームとジプシー」で培ってきた技術が総動員されている。 ミニマムな木で組まれたフレームを窓に見立てたり塀に見立てたりする。 そして、その場所が登下校の風景になったり、 光が射しこむ学校の廊下になったりする。 変幻自在の演出は最初とまどう人もいるかもしれない。 というのは俳優たちがそのフレームを動かすので その身体と音をリアルに感じる。 いきおい情報が多くなり、それを理解するのに時間がかかる。 しかし、その約束事が腑に落ちていくとまったく気にならなくなっていくのが面白い。 そして、沖縄本島の空襲が激しくなった頃、 後半に展開していく。 沖縄にはたくさんある洞窟(がま)を野戦病院とし そこで勤労奉仕をするというもの。 そこから激しい沖縄本島の決戦が始まる。 次々と運び込まれる負傷兵、手当をしても回復できない兵士には 青酸カリの入った甘いミルクを飲ませる。 傷口からは蛆が沸き、そして死体置き場は見る見るうちに死体で溢れていく。 ピンポン大くらいのおにぎりだけが配給されるようになって、 飢えた状態の中で叫び続ける女学生たち。 そして、ついにこの洞窟(がま)を兵士たちの野戦基地として 明け渡すことになり、彼女たちは解散を命じられる。 とにかく南へ逃げなさいとだけ女教師は伝えるのだが。 「私はいったい何をやっているのだろう?」 と女教師は自問自答を繰り返す。 女学生のサン(青柳いずみ)も自問自答を繰り返しながら 状況を語っていく語り部を務める。 彼女を初めとする女学生たちが 大きく張り出した砂が一面に敷かれた舞台を 縦横無尽に走り回りながらセリフを発し続ける。とても激しい。 その混沌から戦場の混沌が伝わってくる。 なんでこんなことになってしまったのだろう? と見ていて悲しい気持ちになっていく。 原田郁子の音楽がリリカルで心に沁みる。 その音楽にかぶさるようにして戦場の音声が重なる。 また不協和音とともに重低音が流れ、身体に振動を与える。 音響はZAK。 奥に白い布が貼られ、そこに抽象的な映像が投影されている。 時々、今日マチ子の原画がそこに投影される。 俳優、音響、映像が重なり合った複雑な構造を整理しながら 藤田は舞台を構成していく。 そして女学生たちは次々と死んでいくのである。 実際に沖縄で起きた本土決戦はそういうことなのだ。 白いシャツと靴、ベージュのスカートで統一された女学生たちの衣装は美しいのだが、 これはまるで私たちの失われたものへの美しい記憶のようでもある。 記憶が現実と分離していき、本当に大変なことが時間とともに薄れていってしまう。 人間とはそうした生き物でもあるのだろう。 リアルな記憶を呼び覚ますことによって 本当の意味での反戦を覚醒させることが出来るのか? これが藤田さんを初めとする「COCOON」 にかかわった全ての関係者の願いなのかもしれないと思った。 東京公演は7月12日まで。その後全国公演がある。 8月1日・2日には沖縄での上演がある。 沖縄の人たちは本作をどのように見るのだろうか? おばあに見て欲しい。
by haruharuyama
| 2015-07-05 10:24
| 舞台
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