初演時、本公演は大人気で全日程完売となり、当日券も若干名しか出なく、
泣く泣く見ることのできなかった傑作公演の再演。
なので、今回はチケット発売日に予約した。
劇場に行くとやはり今回も当日券はあるのだが
階段に座布団席までぎっしりと埋まっていた。
おとこ4人の23歳から82歳までの人生の経緯が描かれる。
彼らの中にいまの自分と重なる部分を見てしまう。
そして、老いるとはどのようなものなのだろうか?と考えさせられたりもした。
山田(菅原永二)鈴木(平原テツ)森田(松井周)津川(用松亮)の4人が
カラオケボックスに集まっているところからこの舞台は始まる。
そこにハイバイのレギュラー女優である永井若葉と
客演のとても魅力的な女優の安藤聖が加わった6人の舞台。
おとこたち、それぞれの生き様が描かれる。
山田は、とりあえず入った会社のクレーム処理の係として才能を発揮し、
負のオーラを発しつつもその会社で定年を迎えるまで働く。
鈴木は大学を出て製薬会社に勤めてMRとなり確実に成績を残して
順調に昇進していく。
30代になると、本社勤務となり商品開発などの部署を担当し、
38歳のときに子供ができる。
森田は、ふらふらとした生活を送り、鈴木の生き方をつまらないといいながら、
本人は学生時代から永井若葉と暮らし結婚し、
同時に安藤聖と不倫関係であったりする。
そして、津川は独特なキャラを持った俳優として戦隊モノなどの
TVドラマなどに出演していてかなりの有名人だったのだが、
酒が好きで酒で撮影の時にそそうを起こしてしまい映像業界から仕事がなくなり
舞台俳優として活路を見出そうとするのだが、それもうまくいかず
最後には新興宗教に入信して支部の副部長として生きていく。
この4人の23歳から82歳になるまでの生き様が描かれるので
当然、亡くなるものも出てくる。
鈴木とその息子の葛藤のシーンが印象に残った。
作・演出の岩井秀人がいつも描いている父と息子の関係がここでも描かれる。
その葛藤は過去の公演でもたびたび描かれ、
本公演でもそのエピソードは強烈な印象を残した。
そして、立場や生きるための価値観などがそれぞれで、
そのそれぞれをどうしようもないなあ!と思って冷静に見ながら
岩井流の「笑い」に転化していく。
その才気が本公演にはみち溢れている。
ハイバイの最高傑作の一作と言って過言ではない。
岩井さんは自らが生きて行くために演劇をやりつづけていかなければ
ならない人なのではないだろうか?と改めて感じ、
芸術家のその根性が観客の心の深い所を揺さぶるのではないだろうか?とも思った。
17日まで。その後、全国5カ所の公演がある。
上演時間2時間5分。