ETVの「0655」という番組に「たなくじ」というコーナーがある。
毎週、月曜日の朝に爆笑問題の田中が持ったボードを撮影すると、
その週の運勢がわかるというもの。
この日は「継続は大吉」というくじが出た。
何を言いたいのか、というと。シベリア少女鉄道の公演が今回で27回目!
となるなんと2000年から始まった「シベ少」が今年でもう16年目を迎えたということ。
一時期、毎回のように見ていたのだが、しばらく見ない時期が続いてしまった。
今回、久しぶりにある方のFBの投稿を見て、見に行くのを後押しされた!
作・演出は土屋亮一。彼の独特な劇世界?とでもいうのだろうか?
仕掛け満載の世界は今も延々と続けられているのだ!ということがよーくわかった。
そして、そのたくらみが成熟していることを発見できたのが今回の収穫である。
ものを創造する人たちすべてに一度この体験をしてほしい。
自分たちの作っているコンテンツとは、そもそもどういうことなのか?
ということを、批評性をもって見ることができるようになるのでは?
そんな舞台なのである。
俳優の中には、篠塚茜などのいつものメンバーなども居る。
新たなキャストも参加して、土屋が考える独特な劇世界が表出するのだ。
「シベ少」の劇評は書くのがとても難しい。
というのも、あるポイントを書くと必ず大きなネタバレとなり、
そのネタのどんでん返し自体が「シベ少」の持つ持ち味だからなのである。
話が変わるが、中学の同級生で田中君というのが居た。(爆笑問題の田中とは別人)
田中君は映画「大脱走」の大ファンだった。
僕たちも田中君に影響されて「大脱走」のTV放送があると必ず見ていた。
田中君は当時、TVのスピーカーの前に録音機をおいて
「大脱走」の音声を録音し、ついに完コピをするに至った。
田中君はいつも「大脱走」のセリフを声色も変えて僕たちに語ってくれた。
もちろん「日本語吹き替え版」である。
洋画の「日本語吹き替え版」のあの独特な語り口を僕たちは面白がり、
田中君の語る「大脱走」の真似をして遊んだ。
この文化が日本ではある種の記号として私たちの脳内に刻まれる。
それは、どのコンテンツにもある文脈と言っていいのか?表象文化と言うのか?
日本の刑事ものにある独特な世界観、ラブコメの世界観、任侠ものの世界観、などなど。
私たちは多くのコンテンツを見たり聞いたりすることによって
その特徴的な世界観を獲得することになる。
でも、それって本当にそうなの?
と土屋亮一は本作を通じて問いかけているように思えてならなかった。
もしかしたら本作は、ものすごく批評性の高い作品なのかもしれない。
土屋さんは無意識にそれを面白がり作品にしただけなのかもしれないが、
多くの創作者を刺激することは確か!
ここまで読んで、何を言っているのか?まったくわからないかもしれませんが、
この舞台を見ると、確実に納得できると思うのですがいかがでしょうか?
6月19日まで。上演時間1時間15分。