本作は玉田企画の中でも、思春期の青少年たちの脱力系お笑い芝居の最高傑作じゃないか?
2014年に上演されたものの再演なのだが、これを再演したくなる理由は良くわかる。
中学高校時代にみんなが感じていた感覚を、丁寧にすくいとり描いている。
「あるあるばなし」満載で、「青春」ってこんなことを言うんだったなあと、
恥ずかしながらもその時の記憶がよみがえってくる。そんな舞台。
TVCMでも「ファンタ」や「MATCH」「CCレモン」「カルピス」などのキャンペーンなどで
いろんなタイプの「青春」が描かれており楽しめる。
炭酸系清涼飲料は中高生の必須アイテム。
自分自身も高校の部活後に前店と呼ばれていた駄菓子屋で、
500mlや1リットルの炭酸飲料を一気飲みしていた。
キャストは3年前と変わっている。美人女子高生の里中の役をが演じている。
初めて鮎川の芝居を見たがとても魅力的。
完璧なまでの自然体の演技と間を作っていくのは
平田オリザ率いる現代口語演劇の伝統であり、
玉田企画の作・演出の玉田真也もその伝統を確実に受け継いでいる。
そして、玉田企画のいつものメンバーである
五反田団の大山雄史、青年団の黒木絵美花、さらに木下崇祥、吉田亮が
登場しているので舞台に安定感がある。
演出の玉田も顧問の新人先生役で出演している。
また、初演時に栗山役をやった高1の女子を演じたのが井上みなみ。
今回は同じ青年団の坂倉花奈に変わった。
今回この舞台を見て感じたのはあの時期のジェンダーに対する感覚!
感覚が研ぎ澄まされすぎてしまい、妙なことになる。その変さ加減が秀逸である。
クドカンの映画「中学生円山」などで描かれた世界、
男女の「性」なるものを強く意識する。
と、同時に、それを超えた男同士の友情や女同士の友情、
さらにはその友情が愛情に変化していき疑似恋愛に近い感情が沸き起こる。
そんな感覚をあのころの私たちはみんな持っていたのではないかな?
LGBTについてメディアが取り上げるようになり私たちの意識も変わりつつある。
人口の5%から8%がLGBTということも聞く。
ということは40人学級だとクラスの中の2-3人が含まれる。
そんなことの予感がこの舞台の中にはある。
ユーモアを含めつつセンチメンタルな感情が相反するように
私たちの中には確実にあるのではないだろうか?
そして、その境界は実はあいまいなものであり、
それを理解することで人間に対する「愛情」の感覚がさらに深まっていくのではないだろうか?
こうしたことに作・演出の玉田さんは自覚的かどうかわからないが、どうなのだろう?
20日まで。上演時間100分。