2015年に佐々木紀彦さん(News Picks編集長)に「映像テクノアカデミア」に来ていただき
社内の勉強会を行った。中島信也さん、佐々木さん、映像制作事業部の古田さんとの座談会。
たくさんの部署の方がやってきて、メディアのこれからなどについてのお話で盛り上がった。
その佐々木さんが新たに本を出された。
「2020年以降日本はどうなるか?そして、これからの人生の戦略をどう立てるのか?」
ということが書かれている。
東洋経済新報社にいらした佐々木さんは自らの意思で
2012年に新規事業だった「東洋経済オンライン」編集長に。
そこで佐々木さんは動画記事の制作などの新たな試みを行われ、
この活動がきっかけになって
「News Picks」(WEB中心のビジネス情報サイト:有料会員を集めて利益を確保するという新たなメディア事業)
の編集長に。2014年のことである。それから3年が経った。
こうしたメディア事業はビジネスモデルとしてマネタイズに時間がかかると言われている。
J字カーブの「J」の下の部分が長期化する。
サイバーエージェントが始めた「AbemaTV」も多額な制作費をサイバー自身が負担しているので、
直近の売り上げは過去最高ではあるが多額な制作費を差し引くので営業利益は減少している。
これから何年で黒字化になるかが、問われてくるだろう。
ドワンゴが運営している「ニコニコ動画」が黒字化するのには
かなり長い時間がかかったと記憶している。そしてその「ニコ動」の有料会員の数が
減少していると最近報道されていた。
メディアを運営して黒字にしていくというビジネスモデルの変化がさらに加速していくのだろう。
そんな時代に、何と!佐々木さんの「News Picks」は3年というスピードで黒字化した!
朝日新聞に記事が載っていた。
そんな佐々木さんがお書きになった本書は未来へ向けての提言が満載で刺激に満ち溢れていた。
戦後の高度経済成長からインターネットが普及した現在までを「日本2.0」とし、
これからは新たなステージに進むための準備をするべきだと佐々木さんは語る。
ちなみに明治維新以降の日本の近代化が「日本1.0」。
佐々木さんの語り口同様に文章の切れがいい。ので、テンポよく読める。
「国家」「経済」「仕事」「教育」「リーダー」という項目について章立てされ、
精密に語られている。いちいち、うなずくことばかりだったが、
その中でも一番印象に残ったのは「教養」を身に付ける必要があるということ。
海外のリーダーたちと互角にやりあうために大切なものは教養だと佐々木さんは力説する。
そして日本の高等教育には「教養教育」を行う場所がほとんどない、とも。
東大やICU、そして池上彰さんが東工大で取り組んでおられるが…。
「教養」の素養が長い目で見て本当に役に立つということを伺い、目を見開かされた!
本当の「教養」を身に付け、自分の頭で考え、自分の言葉で語ることができること。
そのためには多くのインプットが必要で、さらにはそれを自らの言葉で書いていくことが求められる。
そんなことを常に考えている佐々木さんだからこそ、
「News Picks」で記者に自由に面白い記事を書かせ新たな取り組みをやり続けることで
早期の黒字化が達成できたのだろう。
その佐々木さんが、4月に見城さんの「幻冬舎」と協業して「News Picksアカデミア」を始められた。
サブスクリプション型の新たな施策。
すぐに定員に達したらしい。こんなところにも「日本3.0」の萌芽を感じる。