落語の思い出と言えば、小学生2年の頃に
鳥取県は倉吉市の鍛治町公民館でお花の名前のダジャレ小噺をやって、
おばちゃんたちにバカ受けしたというのを記憶している。
その後、小学生の4年生くらいだったかに
「山のあなたの空遠く」という詩を「山の、あな、あな、あな、あな。」といってしまうという
落語をラジオで聞いたのが今も妙に記憶に残っている。
現=圓歌の三遊亭歌奴の「授業中」という新作落語である。
その後、噺家さんと言えば「ヤング・オー・オー」や「モーレツしごき教室」みたいな
TVのバラエティ番組に出る人と言う、間違った(?)イメージを持つようになった。
高校を卒業して大学に入学したのだが、同じ団地の田中君が関学の落研に入ったことを知る。
1年生の頃から梅田の「バーボンハウス」というライブハウスで
桂三枝(現:文枝)が毎月「創作落語の会」という新作落語の独演会をやっていて、
スケジュールが合えば見に行っていた。
社会人になってしばらくは落語に触れる機会を持てないでいた。
一度だけ、新宿の「末広亭」で、林家こぶ平の真打襲名興行を見た以外は…。
2005年に宮藤官九郎脚本のTVドラマ「タイガー&ドラゴン」が放送された。
私が43歳の時である。
クドカンの大ファンだった私は、このドラマをきっかけに積極的に落語に親しむようになった。
当時、一緒に仕事をしていた安部さん(現:安倍夜朗:漫画家「深夜食堂」など)が
落語に詳しいので何を聴くといいですか?と尋ねてみると、
志ん生の「火炎太鼓」が入っているCDをまずは聞きなさい!
と言われて急いで中央区立図書館にCDを借りに行ったことを覚えている。
それが、私が落語をたくさん聞くことになった最初だった。
その古今亭志ん生と三遊亭圓生が戦時中満州に慰問団として
長期間一緒に満州の各地を巡ったという事実を井上ひさしが知ることになり
この戯曲が書かれたそうである。
アフタートークで井上麻矢さんが、父が大連のことについて調べている時に
この事実を発見されたそうである。
観劇した日は終演後「昭和元禄落語心中」の「雲田はるこ」先生がいらして、
井上麻矢さんとの刺激的なトークショウが行われた。
この舞台、まったくタイプの違う男たちの珍道中の物語と言うのだろうか?
タイプの違う二人が互いに尊敬しあいながら生きていくという様子がいい。
劇中でいくつかの落語のネタの一部が語られる。
落語ファンは、それを聴くと落語の筋書きを思い出す。
井上ひさしも落語をたくさん聴かれていたのだろうか?
戦争を通じて表現の自由や人格の自由を問う演劇。
説教くさいと感じる方もいるかも知れないが!
朴さんのピアノ演奏で歌われる音楽劇となっているので
エンタメとメッセージ性のバランスがうまく取れているのでは?
ラサール石井の志ん生の出だしがあまりに似ているので驚いた!