広末涼子久しぶりの舞台。そして野村萬斎との共演。
劇場は三茶の世田谷パブリックシアター!そして井上ひさしの戯曲。
ということで直前にインターネットで調べると
A席(3階席)が空いていることを発見し行って見た。
一般S席は8600円なのだがA席は6500円。
さらに高校生以下はその半額になる。いい仕組み。
若い演劇ファンが増えるといい!
この日も高校生の演劇部だろうか?
顧問の先生と思われる方と数名の女子高生が3階席でこの舞台を熱心に見ていた。
うちは貧乏だったので高校生の時に舞台を見たという経験がなかった。
年に1-2回、映画館で映画を見るという人生。
大学に入って初めて生の舞台を見てびっくりした。18歳の時である。
それから38年間舞台を細々と見続けて来ていることになる。
それくらい演劇体験というのは私の人生の中でも大きなウェイトを占めている。
そして演劇と言う芸術行為に触れることで心のバランスが取れ救われたことが何度もあった。
アートのない人生は自分の人生の選択肢の中にいまはない!
本作は1991年に井上ひさしが書いたもの。
魯迅の上海時代と彼を取り巻く上海の第二婦人と日本人たちが描かれている。
魯迅は「阿Q正伝」などの著作が有名だが、
元々は医学を志ざし仙台の医学校に留学していたらしい。
そこで藤野先生と出会い、二人の心の交流は生涯続いたらしい。
学生時代に出会ったことが生涯のものになるというのは
多くの人が経験しているのではないだろうか?
日本人のことを好きな中国人が増えているらしい。
インバウンドのおかげかも知れない。
日本に実際来ると社会の教育などで教えられてきた日本人の印象が変わると聴いた。
私も25歳の時転職をするタイミングで
天安門事件の前の中国に1か月バックパックを担いで旅行に行ったことがある。
その時の個々の中国の人たちの何と優しくてフレンドリーだったか?
しかし、集団、群衆になるとその印象が「がらっ」と変わるという経験をした。
それはどの国でも同じなのではないだろうか?
多様な価値を持つ方々とココロの交流をし、本当の友になっていく。
そこには国籍や年齢、性別とは関係のないものがあるような気がする。
そんな信念がこの作品では描かれている。
高潔な人たちがたくさん登場する。魯迅という高潔な人を支える高潔な人たち。
魯迅の持っている哲学がそんな人を周りに集めるのだろう。
野村萬斎のあの独特な喋り方が魯迅の役にとても合っていた。
そして、最近女子高生役をCMで演じていて話題の広末涼子。
彼女は上海に住む魯迅の第二婦人なのだが
北京に住む第一婦人(舞台には登場しない)との葛藤と交流が描かれる。
とても印象的なエピソード!
この作品には人を寛容的に受け容れ赦しあうということの素晴らしさが描かれる。
山崎一の演じる日本人医師がいい!
人間の本質的な意味での高邁な品格とはこういう人たちのことを言うのだろう!
そしてこれを見て私もこんな人たちのようになりたいと思う。
本当の意味での「信頼」がここにある。3月11日まで。