『ブックカバーチャレンジ』⑯( book cover challenge vol.16)
16冊目は宮沢章夫さんのエッセイ集「彼岸からの言葉」(@角川書店)
この時期、「彼岸からの言葉」などという題名自体、縁起でもない
とひんしゅくを買いそうですが、発行は1990年6月。バブルがはじけだし
これから日本はどうなるんだろう?とみんなが思い始めた時期
こうした脱力系のコラムは私たちの心をなごませてくれた。
宮沢さんのエッセイにもう1冊「牛への道」というのがあるが
これらの2冊は宮沢章夫がどのような思考回路をしているのか?
ということがとても良くわかる。
本書の一節で例えば「部屋の中がカンガルーくさい」というものがある。
これを見るだけで宮沢さんの特徴が見えてこないだろうか?
そもそも、宮沢章夫さんは放送作家をされており
1980年代の伝説的な演劇コントパフォーマンスユニットの
「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」を結成した。
そこには、竹中直人、大竹まことなどのシティ・ボーイズの面々
いとうせいこうなどが属していた。東京で就職し仕事を始めたばかりの
私は、この公演を興奮して毎回見ていた。劇場はいつも
ラフォーレ原宿の最上階にあるイベントスペースだった。
その後、宮沢さんは「遊園地再生事業団」という演劇ユニットを立ち上げた。
宮沢さんは本書の発行の2年後に「ヒネミ」という戯曲で岸田戯曲賞を受賞する。
また、宮沢さんの2004年にETVで連続放送された
「ニッポン戦後サブカルチャー史」は
本当にとても良く出来た完成度の高い教養の高い番組だった。
サブカルに興味がある人は必見です。
読書文化普及のため