『ブックカバーチャレンジ』⑳( book cover challenge vol.20)
20冊目は三谷幸喜さんの「古畑任三郎」(@フジテレビ出版)
発行は1994年。東京サンシャインボーイズという劇団があった。
三谷幸喜が日芸時代に仲間と始めた劇団で、1980年代末に大ブームと
なっていった。チケットはいつも完売でなかなか取れなかった。
この劇団は本書が発行された1994年に30年間の劇団休止を決めた。
三谷幸喜はその頃からパルコ劇場のプロデュース公演などの戯曲を書き始め
その後、本格的にテレビの連続ドラマテレビに挑戦する。
そして三谷さんはそれから30年近く第一線で活躍しておられる。
2022年のNHK大河ドラマも三谷さんが脚本を書かれるらしい。
コントを描かせる才能は秀逸。特にシチュエーションコメディと
言われる物語の構造の中で笑わせることがとても上手。
群像劇で笑いが描ける方。
その最たるものが映画化もされた「十二人の優しい日本人」だろう。
12人の陪審員と看守、その一人一人に
フォーカスをあててしかも面白い。
ちなみにこの戯曲を俳優の近藤芳正が発起人となり
旧「東京サンシャインボーイズ」の俳優たちとさらには吉田羊さんが
加わってオンラインで朗読劇を作って発表された。
5月末までYou-tubeで見られるそうです。三谷さんも出演していて面白い。
https://www.youtube.com/watch?v=3e2aKThmhXM&t=240s
https://www.youtube.com/watch?v=ZDagy7MmFhY&feature=emb_err_woyt
「12人の優しい日本人」は本書「古畑任三郎」にも通じるものがたくさんある。
本書はフジテレビがまだ元気だった頃に共同テレビの制作スタッフたちと
懸命になってドラマを作った情熱を感じる。
実は演出家の鈴木雅之さんの息子が
映像テクノアカデミアに学びたいと来てくれた時は本当に驚いた!
彼も今は業界の一線で働いている。
三谷幸喜さんは年齢的に私と同級生の世代である。そして
「やっぱり猫が好き」から現在まで、人気過ぎてチケットが取れないもの
以外は常に見続けている。「今夜、宇宙の片隅で」のような
ロマンチックコメディも書くし、時代劇も書く。
ワンカットで収録した実験的なシットコム「HR」のようなものも書く。
常に何か新しいことに挑戦し続けている三谷さん。
同世代のそんな姿を見て、
そしてコロナ下でひげ面になった三谷さんの姿を見て
こんなに面白い人がいるんだから
まだまだ面白く生きていきたい!と勇気を与えてくれる。
読書文化普及のため