『ブックカバーチャレンジ』90(book cover challenge vol.90)
90冊目はジェイ・ルービンの「ハルキ・ムラカミと言葉と音楽」(@新潮社)。
翻訳は畔柳和代。初版発行は2002年。
ジェイ・ルービンさんは村上春樹の小説を英語に翻訳されている。
「ノルウェイの森」や「ねじまき鳥クロニクル」など。
村上春樹の作品を論じた本はたくさん出ている。
日本人のものだと内田樹や柴田元幸。
川上未映子が村上春樹に創作の秘密をインタビューした
作家同士の対談「みみずくは黄昏に飛びたつ」は名著!
しかしながらそれらの中でも、
ジェイ・ルービンの書いた本書はある意味で村上春樹評論の
最高峰と言えるのではないか?
実際、ジェイ・ルービンは村上春樹が好きすぎて、
英語の翻訳をし、そして本書を書いた。
しかしながら本書はその好きが、好きなだけのファン本ではなく
評論という形をとってちゃんと距離をとって語られているのがいい。
村上春樹の発する物語性の独自さは
海外の人にもきちんと伝わっている。
それゆえいろんな国の言葉に村上春樹作品は翻訳され愛されているのだろう。
日本の出版の世界も最近では欧米文学以外に
中国や韓国の作家が書いたものが翻訳・出版されることが
多くなって来ている。
こうした多様な出版文化はその国の文化の成熟度を測る指標となる。
村上作品や村上春樹自信を海外メディアが取り上げることも多い。
村上さん自身が海外に住んでいたこともあり
英語だけで発信された情報というのがある。
ジェイ・ルービンはそうしたテキストも読んでおり
個人的なエピソードも交えながら
ワールドワイドな視点から詳細に村上春樹を論じている。
村上さんは海外の賞を受賞された時に
プラハやエルサレムなどで
世界中の人に著書が読まれている作品を創作している作家として
世界に向けてスピーチをされている。
芸術家として
「世界にいま何を発信していかないといけないのか?」
ということを自覚されている。
過去に村上春樹は日本のワイドショーや芸能誌みたいな
メディア取材に嫌気がさして日本を出て
海外で長く暮らすということをされていた。
米国での大学の客員教授などもされており、
海外での村上さんは自由でのびのびとしていた印象があった。
ジェイ・ルービンはそんな村上春樹も含めての情報を記述している。
そして村上作品に出て来る音楽。
私も個人的に村上作品に出て来る音楽を聴いて
音楽の世界が拡がったのは事実。
今、村上さんは「村上RADIO」というFM TOKYOの番組を持っている。
これを聴くと村上さんの秘蔵のレコードから何曲か聞くことができます。
この「ブックカバーチャレンジ」では取り上げないが
村上春樹が小澤征爾にインタビューした
「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(@新潮文庫)も名著です!
村上さんの音楽知識がホント半端ないことが良くわかる。
読書文化普及のため
◎毎日一冊の本の表紙をUP
#BookCoverChallenge