シアターコモンズトーキョー2021「蘭若寺(らんにゃじ)の住人」ツァイ・ミンリャン(台湾)(@ANB Tokyo 6F)
今年も港区をベースにしたパフォーミングアーツのイベント「シアターコモンズトーキョー」が始まった。
2月の11日から開始されているのだが私は2月20日の土曜日から参加。
この日はVR作品だけを4本梯子する予定。六本木の駅に午前11時前に到着。
六本木の交差点を飯倉片町方面へ100メートルほどいったところの雑
居ビルだったところが今やアートスペースに!
古いビルをこうして再活用するのはとてもいい!
階段で2階に上がると受付がある。ピーティクスのチケットを提示して
今年のパンフレットをいただく。
今年のテーマなのか「孵化/潜伏するからだ」という文字が
パンフの表紙にドーンと書かれている。
パフォーミングアーツは「からだ」をとても意識する芸術である。
しかし昨年からのコロナ禍でその身体が直接出会う行為が禁じられてしまった。
ではそんな時にパフォーミングアーツはどのようにすればいいのか?
のひとつの仮説がこのテーマ「孵化/潜伏するからだ」にあるのではないか?
と想像したのだがいかがだろうか?
その仮説を今回のシアターコモンズの創作した「共有地」に
あなたも共に居合わせ体験してみませんか?ということなのか?
プログラムディレクターの相馬千秋さんのパンフの文章を読んで考えた。
VRヘッドセットの装着の説明などを聴きエレベーターで6階に上がる。
そこには椅子の上にワイヤードのVRヘッドセット・ヘッドフォン付き
のものが置かれている。台湾の映画監督であるツァイ・ミンリャンのVR映像作品。
多分、蘭若寺という場所で廃墟となった建物とその周辺で撮影されたものだろう。
カメラの下の三脚か一脚の足部分が編集で消されており
下を見ると自分のカメラアイが宙を浮いている感じだった。
なのでまるで幽体離脱してそこの風景を見ている感覚とでも言えばいいのか?
立体感がありまさにその場所にいるような感覚に襲われる。
この数年でVRの解像度がようやくリアリティを持って見られる
ギリギリの場所まで進化してくれた。
これからさらにテクノロジーが進化すれば高画質のVR空間を
自宅にて鑑賞が出来るようになっていくのだろう!
その可能性を大きく感じさせる作品。
台湾の田舎の廃墟で身体に障害を持った青年とおばあさんそして若い女が登場し
そこでの日常的な風景が切り取られる。
ASMRを使っているのか?というような音響設計がなされており
音響が普段以上に増幅されて聞こえてくる。
水の音、雨の降る音、そして食べ物を食べたりする音や炊飯器の音など。
特に男女が浴槽で交わるシーンがあるのだが、そこで豪雨と言ってもいいような
激しい雨と風が室内に降り注ぐシーンが圧巻。
自分も雨に打たれているようになる。
私も昨年末の2020年12月にオキュラスクエスト2という
フェイスブックが出したワイヤレスのVRヘッドセットを購入したばかりなので、
1回しか使ってなかったのを
もう一度ちゃんと体験してみようと思った。
上映自体は50分くらいだが、装着に時間が少しかかる。
この後、私は赤坂8丁目のドイツ文化センターへ移動する。