シアターコモンズトーキョー2021「I AM(VR)」スザンネ・ケネディ&マルクス・ゼルク/ロドリック・ビアステーカー(ドイツ)(@ゲーテ・インスティテュート東京ドイツ文化センター)
今回のこの作品は世界初公開作品でもある。リモートでも参加できるらしい。
シアターコモンズトーキョー2021のために相馬千秋さんが
スザンネ・ケネディにVRに興味ありますか?と言って今回の創作を依頼したらしい。
大抵の芸術家は自分がやったことのないものに挑戦してみたい!という気持ちを持っている。
だって初めてのことってワクワクするから当然ですよね!
その芸術家の魂を知り尽くしたような相馬さんのオファーだったのだろうか?
コロナ禍でリモートであらゆることを進めていかなければならないという
時期にこの試みはまさに今の時代ならではのアイデアだったのではないか?
そして私が実際に体験して、本当にものすごくワクワクし
興奮しこんな体験が出来るならVRのこれからは半端ない!と確信した。
あと数ステップ画質が向上すれば本当にその中にいるような気持になる世界はすぐそこにある。
2025年の大阪万博ではVRが真剣に俎上に載せられて検討されているらしい。
そこでの体験がある種VRの可能性を大きく拡げる場になっていくのではないだろうか?
その場所に行かなくても身体(からだ)はその場所を疑似体験できる。
もちろんそれはどこでも良く、本作ではその空想の世界を構築した。
今の時代にシュールレアリスム芸術家が居たら
この技術に飛びついて新たな創作をすることだろう!
というのも、まさに本作は体験するシュールレアリスムとなっている。
ストーリーに応じてある順番を追って体験するようになっているが、
これを体験してみて、数年後までにはいろんな世界を自由に旅することが
出来るようになっていくことだろう。
VR CHATなどの場所以上にリアリティを持った別世界がそこに出来るのかも知れない。
アンリアルエンジン(※Unreal Engine(アンリアルエンジン、UE)は、Epic Gamesより開発されたゲームエンジンである。)
というコンピューターグラフィックスの技術がある、現在バージョン5。
それがいま以上に進化していけばCGで作られた映像と実際に現地で撮影された映像との
違いがわからなくなるという時代が来ている。
映画館のスクリーンではもうそれが実現している。
これからは三次元の空間すべてをそれで作り込み、その大容量データをリアルタイムで動かせる
マシンパワーのあるものが登場すれば、それはもはや現実になる。
2025年の大阪万博では高機能なPCと特殊な
環境を設定して確実にその世界を創ることが出来るだろう。
究極はVRヘッドセットを付けないで体験するような世界。
テーマパークなどはその実験が出来る場所ともなっていくのかも知れない。
と様々なことを想像させるくらい、刺激的な作品でした。
作品の中で問われ続けるのは「あなたは何者ですか?どこから来てどこへ向かうのですか?」
というような哲学的な問いが繰り返される。
昨日のNHKのTVドラマ「ここは今から倫理です」(ドラマの脚本は劇作家でもある高羽彩)
でも語られた、西洋哲学のデカルトの身体と心は別のものであるという二元論的な考え方の
対立概念として禅師である道元が説いた「心身一如」ということが同時にドラマの中の授業で語られた。
それを見て、本作では「あなたは誰ですか?」という問いと同時に
「身体と心は一緒ですか?違いますか?」とも問われているような気がしてならなかった。
ということでこの日のVR3本目終了。
この後、田町のSHIBAURA HOUSEへ移動。
港区もこうして体験するとかなり広い。