「はなれながら、そだっていく。」ひとごと。こどもとつくる舞台vol.2(@こまばアゴラ劇場)
「はなそだ」と言うらしい。ゴールデンウィークに子どもといっしょに見てもらいたい
と思って公演を打とうという制作者やスタッフの想いが伝わってくる。
私は残念ながら子どもが出来なかったが
散歩の途中などに子どもたちを見かけると無条件に楽しい気持ちになり、
この子たちから純粋に伝わってくるものを生涯持ち続けて欲しいなあ!といつも思う。
それは社会性とか大人らしくということではないものかも知れない。
集団行動などにはもしかしたら邪魔になってしまうものなのかも知れない。
でも、本作にはその子どもの時に思っていた気持ちや想像のチカラを
今も信じて生きていこうという想いが伝わってくるのだ。
芸術家とはその気持ちを死ぬまで持ち続ける人のことを言うのだろう!
純粋に人を喜ばせようという気持ちがその根底にある。
本作に参加しているすべての制作者や俳優さんたちにはその想いがあり、
それに賛同し稽古を重ね本公演を迎えたのでは?
演出:山下恵実。
テキストは「こどもたち」とある。折り込みのチラシを見るとこう書いてあった。
「物語や絵の募集を行い、集まった作品から舞台を作る企画です」
と。
出演者たちの衣装がいい!真っ白な衣装にはこどもたちが描いただろう
絵や文字がプリントされている、白のスペースとのバランスが良く、
その衣装自体がこどもたちとコラボしたアート作品。
背景の白い布に描かれた抽象的な模様もそうなのか?
劇中で川隅奈保子さんが絵本を読んでくれるところがあるが、
あそこの描かれた絵もこどもたちが描いたのだろうか?
これを見て思ったことはこどもたちの世界を描くのは身体と発声やリズムなどが主体で、
言葉(セリフ)はそれらを補完するものに過ぎないのではないか?ということ。
同時に、子どもたちが紡いだ言葉をどうすればその生の感覚が伝えられるのだろう?と見ていて考えた。
俳優さんたちの動きやオノマトペのような発声そして
松田弘子さんの演奏するウクレレと歌などという感覚的なものが魅力的。
ウクレレの歌とともに川隅さんと古谷隆太さんが糸電話に向かって「もしもーし!」と
交互に言い続けるシーンがある。
ただ単にコミュニケーションをしてつながりたいという
私たち人類が持っているだろう根源的な欲求がそこにはあるんじゃないか。
こどもたちは真っ先にそれを表現するものたちでもある。
ここでは、観客ももしかしたら脳のまったく違う部分が活かされているのかも知れない。
芸術家や一流のクリエイターの方にお会いすると
何歳になってもどこか子どもっぽいところがあるように思うのは私だけでしょうか?
15時~の公演だったので大人の観客ばかりの鑑賞。
そういう私も還暦である。
でも、こどもの気持ちを尊重しその気持ちのまま死ぬまで生きよう!みたいなことを考えた。
上演時間約1時間。5月8日まで。こどもたちの感想を聞いてみたい。