10月12日(木曜日)放送分。
幻冬舎は、それが出来たときから凄い出版社だと思った。
社長の見城徹は、僕が尊敬し興味をもっている編集者。
彼らの手がけている作品の全てが好きなわけではないが、
「月刊カドカワ」の時代から、その時代感覚と、
一流の書き手に一流の仕事をさせる手業には舌を巻く。
見城徹は文芸編集者の枠に留まらない。
ミュージシャンや俳優にもどんどんと書く場を与えていく。
見城の素敵なエピソードとして、若手の作家たちと飲むに行き、
帰りのタクシー代まで心配する。
そうやって旦那のように若手作家たちが育つのを見つめ続けているらしい。
無償の愛情。なかなか出来ることではない。
石原正康は、見城徹と一緒に角川書店で働き、
6人で独立し、幻冬舎を起したうちの一人。
44歳。僕と同い年。
作家と編集者の関係は、監督とプロデューサーの関係にどこか似ている。
ものを純粋に創る人。それを手助けする人。
石原は、編集者の仕事を
まるで助産婦のようだと言っていた。
産婆さん。作品は子供。
うんうんと苦しみながら生み出す作家のそばに居て、
声をかけ生まれてくるお手伝いをする仕事。
なるほどなああと思った。
石原の作家からの信頼は篤い。
とくに山田詠美との交流はじーんと来た。
仲が良すぎて、まるで兄弟のような関係になる。
その分、ときには傷つけ合うようなことも言うが
また一緒に会って飲みくだを巻く。
石原が先にダウンしてしまうと山田は、彼ののおでこをそっと撫でる。
彼女の石原に対する愛おしさみたいなものがテレビ画面から溢れ出していた。
石原が何かで発言していたらしい。
「作家の葬式まで面倒を見ることが、編集者の仕事。」
ここには、一生涯作家と二人三脚で作品を作っていこうという気持ちが強く現れている。
僕も一生涯つきあっていける人たちと、どれくらい出会えるのだろうか?
まるで結婚生活にも似た作家と編集者の関係を見るにつけて、
僕はプロデューサーとしてそれだけのことを
やってきているのかということに気がつき、
愕然とする。