国立新美術館が開館した。六本木と乃木坂の間に龍土町の交差点がある。
そこから星条旗通りを霞町の方向へ。東大微生物研究所があった場所に
ガラスがうねうねと、うねった奇妙な建物がある。建物は、どっちりとしているように
見えてどこか軽い印象がある。
ガラスとステンレスの色がそのように感じさせるのだろう。
まるでガラスで出来たミルフィーユのようである。
ボックスオフィスでチケットを購入してエントランスに入る。
内部は、有楽町国際フォーラムにどことなく似た印象。
天井がものすごく高く吹き抜けている。その真ん中をエスカレーターと
エレベーターが突き抜ける。
ここは常設するものがない美術館だそうだ。
そうすると学芸員の企画力・編集力が問われることになる。
オープニング展はかなり気合がはいることだろう。
企画展「
20世紀美術探検」をまず見た。
20世紀の現代美術をテーマごとに設定して、そこのテーマに沿った作品が
展示されている。はっきり言って、がっかりした。
おざなりな、テーマ設定、各美術館から集められる展示物を何とか
かき集めて展示しているように思えて仕方がなかった。
申し訳程度に、有名な作家のものがぽつぽつと展示されている。
何がこの展示で伝えたいのかという意図が全く伝わってこない。
開館したばかりだということもあって、もの珍しさから、多くの鑑賞者で
賑わっていたのは事実である。ただし、彼らがこれを見て、20世紀の現代美術に
少しでも興味を持ってくれればいいのだが。
企画展は、番組や雑誌の特集の編集作業にも似ている。
この展示会はそれを作っている、編集長やディレクターの顔が
見えてこないのだ。
唯一、第三部の現代美術家たちの作品群は興味をもった。
これからという作家たちの本当に現在の作品たちは
未来のエネルギーと今の空気が伝わってくる。
そのあと、2階に移動して、「
黒川紀章展」を見る。
1階の企画展とはうってかわって自由に、展示されている感じがした。
展示の仕方も面白く、黒川紀章の作品群を見せられて彼の生き様と
作品、彼の考えや交友関係などが理解できるようになっている。
まるごと黒川紀章という建築家をアーティストを人間を理解検証しようと
いう意図がびんびん伝わってきた。しかも、1階の企画展は入場料1100円。
「黒川紀章展」は無料なのだ!
「黒川紀章展」では、週末に他のアーティストを呼んで行う
ライブプログラムが組まれている。これがそうそうたる人々で
毎週末見に行きたいようなプログラムになっている。
時間の関係で2階で展示されていた
「文化庁メディア芸術祭10周年企画展」は見ることができなかった。
残念!18時終了は少し早くないかい?