蜻蛉玉、プーク人形劇場での二回目の公演。
ここの舞台はもともと人形劇を子供たちに見せるために作られたもの。
椅子もトイレも低く作られている。
この舞台の特徴として上手後方に細い螺旋階段があり、
奈落から二重までを貫いている。
まるでジャックと豆の木に出てくるような太いつたのようでもある。
今回の舞台ではこの螺旋階段が効果的に使用されている。
シーンが縦につながっているような構造なのだ。
螺旋階段を昇ると上の層へ、下りると下の層へとつながっていく。
不思議なファンタジックな世界が拡がる。
まるで不思議の国のアリスのような。
女の子ばかりが出てくる。
男優も2名も女の子の格好をして登場する。
最初は男優だとわからなかった。
いろんな階層の世界があって、
その世界ならではのルールや世界観が描かれる。
そこにつながっているのは縦に伸びる螺旋階段だけであり、
役者たちはいくどもその螺旋階段を昇ったり降りたりする。
台詞の中で感じたことは、
上の世界に行こうとする人たちと下の世界に行こうとする人たちの描き方。
上に行こうとする者は野心と向上心みたいなエネルギーを発信し、
下に行こうとする人たちはココロの平穏や癒しを望んでいるように
思えてならなかった。
人間はその両方を希求するものだし、
どちらがいいとは一概にいえない。
下の世界に行ったとしてもココロが平穏ならば幸せなのかもと思う。
格差社会とか下層社会とか言われる時代感覚が
無意識にこの舞台に貫かれているのだろうか?
それとも、作・演出の島林愛は、格差社会に対する提言として
確信犯でこの舞台を描いていったのだろうか?
舞台は唐突に終わりを告げる。
もしかしたら、一番上の世界と一番下の世界が
つながっているのかも知れないなと、少しの間だけ思った。