TPTがスタートしてから15年が経つそうである。
この公演は15年目の節目にあたるリスタートの舞台として
新しい創造を目指して作ろうとしている。と演出の門井均は語る。
いつも、同じ方が受付にいてチケットの販売関係などをしている。
森下の同じ場所と同じメンバーを見ているとなんだか安心する。
文学座のアトリエ公演なんかもそうである。
しかし、同じメンバーや同じ場所から、様々な新しい試みが行われ、
新しいスタッフやキャストによって多様な舞台を生み出すチカラは衰えない。
そんな場所が東京に何箇所かあることが東京の舞台人にとって、
ひいては舞台を見続ける人たちにとっての幸せなのではないだろうか?
チェーホフの舞台は、どこかで何度となく上演され、何度か見ている。
チェーホフの原作を翻案した舞台もいくつか見た。
チェーホフの語りは難解である。
日常の中に、幸福論とか人が生きていくとはという哲学が織り込まれている。
三人姉妹の葛藤がそれぞれ描写される。
現代の若い女性の悩みと大差ないところが多分にある。
見に来ていた若い女性の観客たちはどのように思ったのだろうか?
今回のプロダクションの課程として、役者を全員オーディションで決めたそうである。
これから役者として活躍していこうという者たちの
危なっかしい演技ながらも強いエネルギーを感じることが出来た。
こういったプロダクションでは、
演出家がその大きな責任を背負うことになってしまう。
彼ら彼女たちをどのように扱うのがいいのか?
そういう意味でもオープニングで
男たちが「ほいっ、ほい、ほいっ!」といいながら登場してくるシーンは
演出家としての試みを感じた。
三人姉妹を演じた女優たちもなかなかに魅力的だった。
三人ともスリムなシルエットのスーツを着ており、
その衣裳を色違いで着ている。
身体の線が出るものなので、そのような身体の持ち主でないと
着られないような洋服を着て演じる。
すこし、アイドルっぽかったり演技の遊びが
見られなかったりするのも、愛嬌だろうか?
惜しむらくは、教条的なメッセージで終息する
ラストシーンはいかがなものだろうか?