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運良く確保できたチケット。嬉しい。 会社を出て劇場へ向かうときに、同僚と話していた。 「芝浜」をやらないかな?と、 マクラで談志が、「ええ、やりますよ、芝浜」と開口。 場内は拍手で沸いた。 ここに集まる観客たちは、落語を聴きに来ているのか? それとも談志を見に来ているのか? 少なくとも多くの観客たちが 彼の生き様に興味と共感をもって足を運んできているのは違いない。 まさに、そんな感覚が舞台中に溢れている。 談志の落語はどこか「ひりひり」する。 なんだか危なっかしさと同居した狂気のようなものがその奥に見え隠れし、 そこに観客たちはつきあっていく。 単純にエンターテイメントを見せてもらうというわけにはいかない。 談志ときちんと対峙してこそ、彼の落語は本物になる。 そのためには観客は真剣に談志と向き合う必要があり、 同時に落語と向き合わなくてはならない。 大変である。 落語をそのような大変な思いまでして見ることに何の意味があるのか? と思う方もいるに違いない。 しかし、談志は命を削って表現しようとする。 その一部だけでも見ているわれわれが共有するということが 大きな感動になるのか? そして命を削って表現するものの先には、 談志がいつも言っている、 「人間の『業』」が垣間見えるのだろう。 その体験たるや「わはは」と笑って そのまま忘れ去られてしまう芸よりもどれだけ強いかしれない。 そんな一瞬の体験をするために観客たちは、毎回足を運ぶのだろう。 マクラで談志の現在の状況と最近考えているよしなしごとを確認する。 彼の生き様とその発言がリンクし、 その先に彼の「死」を、そして「師」としての彼を思う。 咽頭ガンから復活したものの喉の調子が完全ではないので、 聴くほうもものすごい集中力で向かっていかなければならない。 その微妙な調子を何とか吸収しようとする。 「えー、お笑いを一席。」と談志が噺をはじめる。 そのかしこまった感じが、 彼がもしかしたらもう長くはないのかも知れない。 もしかしたら、この高座が最後になるかもしれないと感ずる。 そして、そのコトバに感応した観客たちは一斉に拍手をする。 最初の噺は「意地くらべ」という噺。 仲入りを挟んで、幕が上る。 お囃子が鳴っている。 長い長いお囃子。 お囃子が一巡しても談志は出てこない。 さらにお囃子が鳴る。 何分たっただろうか、 恥ずかしそうにいやーな感じでしぶしぶと談志が登場する。 舞台の袖で倒れているんじゃないか? 出たくないよう! と駄々をこねているんじゃないかと心配した。 マクラを挟んで、魚屋が酒を飲んでいるシーンから始まる。 そもそも、僕が落語を、しかも古典落語を見るようになったきっかけは、 宮藤官九郎脚本のテレビドラマ「タイガー&ドラゴン」であった。 その第1話で取り上げられたのが「芝浜」だった。 談志は台詞だけで話を進行させていく 余計なト書きや語りを一切排除している。 台詞のやりとりだけで情景を、感情を表していく。 3年経って、革袋に入った四十二両の金を夫に渡すシーンが秀逸だった。 妻は夫が拾ってきた金を、ないものにして、そのことを三年間隠し通す。 決して、いい妻として談志は描かない。 妻の夫に対する不貞の告白でもある。 その罪の意識とその告白が見ているものの胸を打つ。 夫に隠し事をしている妻が ついに3年経った大晦日に告白する。 まるで懺悔でもするかのように。 妻はこの日まで自分を責め続けていたのかもしれない。 その気持ちが感情として一気に出る。 妻は告白し終えると号泣する。 まさに号泣である。 談志は顔を覆っておいおいと泣き叫ぶのである。 それは、談志七十余年の魂の叫びであり、 その気持ちは、落語の神様が運んできてくれたものかも知れない。 アドリブでああいった表現が出てくることに驚く。 とともにこんなことは、この人しか出来ないだろうなとも思わせられる。 満場の拍手の後、談志は語る、 いやあ「一期一会」ですな。 自分でも想像できなかった「芝浜」がここに創造されたのだろう。 幕が下りた。 かと思ったら幕が開く。 批評家としての談志がいつもはそこにあるのだが この日の談志は、一人の噺家だった。 一期一会が本当にあるんなだなあと今日は改めて実感出来ました、と。 本日は貴重な夢を見せてくれましてありがとうございました。 と言いながら、観客に頭を下げて感謝する談志の姿がそこにあった。
by haruharuyama
| 2007-12-21 09:20
| 舞台
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