あけましておめでとうございます。
最初の1冊は、これからの未来を語った一冊。
あの名著「ウェブ進化論」から1年を経て出版された、梅田望夫の新刊。
ここでも梅田の立ち位置は変わらない。
徹底的にポジティブにウェブ時代を捉える。
楽天的に未来を考え、人を信じる姿勢は素敵です。
ウェブ時代になると、新しい、さらなる世界が開ける。
そのウェブ世界とリアル世界をバランスよく生きていく生き方が提示される。
本書の副題として、
「いかに働き、いかに学ぶか。」
ということについて語られる。
新しい時代の兆候がその先にある。
このような本を読むと多くのことを考えさせられる。
ここから先に新ビジネスモデルがあると信じる。
梅田はこのウェブ時代を高速道路に例える。
ネット社会が生んだ、いつでもどこでも誰でも、
ネットを通じて勉強や研鑽を積む事が出来、
そのスピードはどんどん増している。
発信者としても、誰でもが自由に
発信できるという環境が開かれている。
極度に民主的な社会がそこにある。
ただ、高速道路の先は大渋滞していると梅田は言う。
これは過度の競争社会であるということを
置き換えて言っているのだろうか?
それを乗り越えるのに梅田はふたつの方法を提示する。
ひとつは、さらなる「高く険しい道」を進むこと。
これこそがプロフェッショナルと言われている人々が進んでいる道である。
将棋が好きな梅田は、その世界に置き換えて、
羽生善治のことを例に挙げる。
彼は、まさに「高く険しい道」を進んでいる人である。
もうひとつは、「けものみち」を進んでいくことと梅田は語る。
「けものみち」とは道なき道の例えである。
どこにどう道が続いているかわかりにくいのだが、
そこには先に進める道が必ずある。
その道を、勇気を持って歩き出せば、
「高く険しい道」でなくても、その先に進んでいける。
この道は、ベンチャーとか新しいビジネスモデルとか
ということに置き換えられるだろう。
そして、どちらの道もこれから我々が
進んでいかなければならない道であると梅田は示す。
しかし、その道を進んでいくのにはある種の条件が提示させられる。
めんどくさがらないこと。
自立心をもって、自律しながら時間を有効に使ってものごとを処理していくこと。
そのことが問われる。自発性と置き換えてもいいのかもしれない。
そのような自発性なくしては、この道を進むことは出来ない。
組織が何かやってくれるだろうとか、
与えられた仕事をやるという考え方の人たちは
新しい世界に向けて進んでいく事が難しくなるだろうと
梅田は何度も繰り返す。
ただし、ウェブ社会では好きなことを徹底的にやって
それがビジネスになるとも梅田は語る。
好きな事を徹底的にやることこそ、自発性の塊のようなものである。
そのためには「好き」なものを自ら発見することが重要になる。
学生時代にそれが見つかれば、そんなに幸せなことはないだろう。
そして、さらなることとして、ウェブ時代の公共性について梅田は言及する。
ネット社会が上手く機能すれば、世界の格差は縮小し、
自律し勇気のある人たちが等しく頑張れる世界になる!と。
実際、グーグルの思想は世界の全ての知や情報を整理整頓して体系化することである。
税金ではなく、グーグルの資本でそれを行っている。
マイクロソフトの一線を退いたビルゲイツは彼の何十兆という資産を運用して
彼の財団で生み出された資金を、どのように基金として世界に還元するのか
ということを日々考えている。
ここに、梅田が描くウェブ社会のひとつの理想系がある。
その実現に向けて、みんなで道を進んで行こうよ!
というのが本書の概略である。