「水と油」にいた、じゅんじゅんの新しいユニット。
1995年に結成された「水と油」はパントマイムを
新しい領域にまで拡げていった。
10年続いた「水と油」は数々の芸術賞を獲得したのだが
メンバーの怪我・故障によって解散せざるを得なくなったそうである。
そうして、ソロ活動を始めた、じゅんじゅんが今回、
伊藤キムと組んでダンスをするということを織り込みチラシで知った。
主宰のCANに電話すると電話予約が出来るということで吉祥寺に!
アリスをテーマにしたダンスとパントマイムがミックスされたような公演だった。
アリス役の紅一点は、たかぎまゆ。
彼女を見れば見るほど若きころの研ナオコさんを思い出した。
研さんの方がすらっとしているが、
たかぎのメイクも含めての印象が研さんそっくり。
個性的なアリスである。
このダンスはアリスの様々な部分からエピソードが拾われている。
ウサギの役で出てきたのが伊藤キムである。
実は今回の公演でついに、伊藤キムを見た。
伊藤キム初体験である。
あーこのひとかあ!とトランプから出てきたような白い衣裳に身を包んだ
伊藤は存在感が突出していた。
最初彼がソロで踊る場面があるのだが、
ダンスのキレのよさに圧倒された。
眼を動かすだけでも表現が出来、
もちろん身体全体を使ったものは凄い。
きちっと身体を止める能力というのがあるのだなと思う。
伊藤キムはアイパッチをしている。
彼のトレードマークになっている。
実際にその姿を見ているとアイパッチも含めて
伊藤キムという存在になっている。
まるで何かのキャラクターがそこに降り立ったような感じがする。
単に歩くだけでも独特な工夫をしており、
奇妙な印象が強くなる。
じゅんじゅんと森川弘和が踊るシーンは
「水と油」の世界を彷彿とさせる。
椅子を上手く使ったり、鏡の国のような
合せ鏡の演技が行なわれたりする。
様々な踊りの断片が提示され、面白いものと、
そうでもないものが混在する。
ただ、それぞれに個性があり見ていて飽きない。
欲を言えばそこに統一させる何かが欲しかったかもと思う。
断片が断片だけで終わらないものが
アリスというモチーフ以外にもう一つ必要だったのかも知れないなと思うのである。
欲張りすぎ?