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プラチナ・ペーパーズの堤泰之と言えば演劇界では多くの人が知っている名前だろう。 堤泰之は1960年生まれ。愛媛県出身。東京大学教育学部中退。 1978年から90年にかけ、ネヴァーランド・ミュージカル・コミュニティにて、 十数本のオリジナルミュージカルを上演。 1991年、プラチナ・ペーパーズ設立。脚本・演出・プロデュースを手がける。 プラチナ・ペーパーズは、「レーベル・システム」という 独自のプロデュースシステムで演劇の製作を行う会社である。 ホテルの一室を舞台にした男女の二人芝居「ピカレスク・ホテル」シリーズや、 教師達の悪戦苦闘ぶりを描いた「ザ・中学教師」シリーズなどを継続的に上演。 1995年には、多くの役者に力試しの場を提供しようという オーディションプロジェクト「ラフカット」をスタートさせた。 ということがHPに記載されていた。 僕は劇団・道学先生の演出などで堤さんの演出作品を見ていることがわかった。 今回のラフカットという試みは新たなチャンスを求めている俳優さんたちに チャンスを与えようとする試みをしているプロデュース公演だそうである。 俳優さんはさまざまなところから参加している。 今回は、4作のオムニバスからなる。 それぞれに劇作家が違い、全てを堤康之が演出する。 各話ごとに違う俳優さんが出演する。 その総数は、35人にものぼる。 1話が大体30分から40分のショートストーリーである。 劇作家が違うだけでこうまでも違う演劇になっていくのかと驚いた。 四者四様の個性をもったものに完成した。 初日ということもあって多少硬さなどの気になるところもあったかも知れないが それをはるかに上回る脚本の面白さだった。 第1話は塩田泰造作。 興信所の男たちが三姉妹のアパートから隣のマンションの部屋を 捜索させてくれと願い出にくる。 依頼主は不倫をしているだろうと思われる夫の妻(黒木絵美花)。 隣のマンションでは風邪で寝ている女性が。 どうやら同じ会社の部下のようである。 男はかいがいしく彼女の世話をする。 彼女は風邪で寝込んでいるのにかかわらず今日の男の 誕生日のために、プレゼントとしてネクタイを買っていた。 妻はこの日が夫の誕生日だったと気付いていなかったようで、 このことで初めて今日が夫の誕生日であることを思い出す。 妻はそのことで夫に対する思いに火がつくのである。 同じ男を中心とした関係の対比が面白い。 その対比によって倦怠期の夫婦がある別の関係に変化していく。 塩田泰造版、「七年目の浮気」? 塩田泰造の描く世界は可愛らしい世界であるのだが、 そこに、そこはかとないエロスが漂う。 それは得もいえぬささやかなものなのだが、 それが時に、とてつもなくHな感覚として捉えられるのが 塩田ワールドの不思議なところである。 第2話は堤康之自らの脚本。病室が舞台である。3つのベッドがある。 そこで様々な生と死の模様が描かれる。 末期ガンの検査と治療法を模索しながら長期入院している男の姿がいい。 若い社員がお見舞いに来て、先輩社員に退職勧告を告げる。 男は最期の命を振り絞りながら 生きようとする思いを「たまごっち」を育てることに置き換える。 その対比がカッコ悪くてカッコいいのである。 今回の舞台は全てにわたってこのようなことが通低していたと思った。 カッコ悪くても一生懸命なのが、実は、カッコいい。 第3話はドラマなどの脚本も手掛ける、渡辺千穂の脚本。 エレベーターの中で起きる小一時間ばかしのドラマである。 たまたま居合わせたエレベーターが何らかの原因で停止する。 そこからここに尾合わせた人々が様々な事情を抱え、 どのように思っているのかが見えてくる。 本音と建前がごっちゃになり、混沌とする。 6人それぞれの描き分けが出来ていて、 ストリーテリングとして一級品の風格を感じる。 そして、彼らはそれぞれの場所に以前とは少し違った形で戻っていく。 ライティングと効果音だけでエレベーターを ちゃんと想像させる演出がとっても良かった。 第4話は羽原大介の脚本。 彼は映画「パッチギ」「フラガール」で二年連続日本アカデミー脚本賞を受賞した。 つかこうへいに師事をしていたそうである。 どちらの映画も僕の大好きな映画だった。 それだけに羽原さんの脚本は僕のココロに沁み込んだ。 弱きものに対する限りない愛情。 音楽の「ダニーボーイ」がこれでもか、というくらいに使われている。 母(水木ゆうな)の手紙と息子(平野良)の手紙の往復書簡の朗読から舞台は始まる。 若い母親のもとで育った彼は東京に出てきて 姓同一性障害だった自分を正面から向き合い認めてくれる人たちと出会うことが出来た。 息子のパートナーはショウパブのママである年上の男性(税所伊久磨)。 彼は母親に自らのことを隠し立てせずに話そうと決める。 とまどう若い母親。 彼女も息子を中学生で出産。 中学を中途でやめることとなって年上の夫がやっていた 上州の老舗旅館で子育てをしながら働き始める。 夫が早くに亡くなって世間の冷たい視線にさらされながら 息子を育て上げ旅館の若女将となった。 その彼女は結局、息子の姓同一性障害を受け容れていく。 「私の子供が男だろうが女だろうが私の子供に違いない」と。 ショウパブで水中の中の男性シンクロのようなショウがあるのだが、 それが見ていて本当にカッコ悪くてカッコいいのである。 その懸命さが人の気持ちを動かしてくれる。 思わず拍手をしていた。 本当に、それぞれに密度の濃い四つの舞台を見て 「ラフカット」という試みが、有効であり尚且つ高いレベルで あろうとしているという強い「志」を感じた。 頭の下がる思いだった。
by haruharuyama
| 2008-10-02 11:08
| 舞台
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