何と、MONOが20周年を迎える。
主宰の土田英生が、立命館大学に入学したのが1985年である。
バブルの絶頂期に京都で演劇を始めた彼らは
バブルという言葉を素通りしながら、地道に着実に舞台をやり続けていた。
その継続が20年という形になったに過ぎない。
もう40歳台を迎える彼らの舞台は、ウェルメイドで完成度が高い。
「外れ」がないことをやり続けるのも大変である。
大外ればかりを敢えて実験的にやり続けると20年は続かない。
笑いのセンスは、旧態依然としたものがあるが、
それはお約束として許してしまえる。
吉本新喜劇と思えばいい。
金替康博の反応が遅いリフォーム会社の職員などはその典型。
この舞台は、それ以上に面白いところがあるので大丈夫。
交通事故で両親を亡くした四姉妹の屋敷の軒下の地下室が舞台となっている。
四姉妹は同居している。
廊下の壁をとっぱらうと大きな穴が出現し、
そこの修理を依頼されてインチキリフォーム会社の面々がこの地下室にやってくる。
リフォーム会社のインチキ社長(土田英生)と四姉妹の長女(亀井妙子)が
フラメンコ教室で知り合ったのが縁となった。
四女(松田青子)は家にいていつも本を読んでいる。
今、読んでいるのが「ほらふき男爵の冒険」。
地下室ではいつものMONOらしい、男たちの不毛な会話がだらだらと続いている。
奥村康彦と尾形宣久の会話がいい。
そして、今回の舞台でもっとも面白くおいしかったのが
タイトルにもある「床下のほら吹き男」=水沼健だった。
彼の胡散臭いほら話がどんどんと加速していってそれが笑いを誘う。
かなり高度なテクニックである。
話のはぐらかし方や嘘のつき方、嘘をついていることを
恥ずかしいと思っているようなところが出たりする。
彼は、床下に住む「ほら吹き男爵」なのだろうか?
五反田団の「俺の宇宙船」で出てきた、
混血ロシア人(奥田洋平)の役は、この「ほら吹き男爵」だったのではないか?
とこの舞台を見て考えさせてくれた。
もとい。
床下のほら吹き男の話に触発されて
家族や男たちの本音が見えてくる。
四女の次女に対する本当の思いが語られる。
それをすべて受け入れながら彼らは生き続けていくところがリアルであり、
それを描くことがMONOらしいなあと改めて思う。
地道に着実に続けていってください。
京都にはそれが出来る土壌があるのだろうか?とも思う。