チラシに書かれている言葉がまさにこの舞台のことを言い当てている。
「やっぱりナンセンスってもう古いのですか?
それならそれで、そういうの懐かしみに来てください。」
ここに本作のすべてがある。作・演出はブルースカイ。
見ていてあまりのナンセンスさと馬鹿馬鹿しさに、
これは猫ニャーじゃないか!と思った。
ブルースカイは1994年に猫ニャーを結成。
その後2000年に演劇弁当・猫ニャーと名前を変え2003年までそれが続いた。
その1990年代にある潮流を作っていたナンセンス演劇がここに再現された。
ブルースカイは、ナイロン100℃のKERAさんにあこがれて
演劇を始めたと聞いたことがある。
当時のナイロン100℃のナンセンスさは本当に面白かった。
ドッカンドッカンと笑いがおこる!
ああ、こういったナンセンスでブラックな笑いがあっていいんだと思った。
そのKERAさんは別役実の不条理劇に影響を受けている。
別役実の独特なずらしの面白さはいくつになっても変わらない。
本作はダックスープの俳優がたくさん出ている。
個性的な俳優がたくさん出ており、彼らの馬鹿馬鹿しい芝居を見ているだけで楽しくなる。
固定ファンがいたのだろう、彼らの一挙手一投足に対してものすごく受けていた。
特に池谷のぶえは猫ニャーに出演しており、そのことが猫ニャーだという印象を強く想起させた。
喜安浩平がドラゴンクエストのような旅をするというような話だが
その話自体には大きな求心力はなく、そこから派生する乾いた
ナンセンスな笑いを提示するのが目的だったように思われる。
オリジナルではないパロディとしての演劇?
安澤千草が指導したみんなで歌う歌が印象に残った。
U-TUBEにこの練習風景がアップされているらしい。
この舞台のタイトルで検索すると見ることができる。
また、松浦羽伽子が少年役を演じるのだがそれが妙にはまっていて良い。
そして佇まいとしてそこにいるだけでおかしいのが三浦俊輔。
彼を見られたのは、今回の収穫だった。
では、演劇としてはどうだったのか?
KERAさんは90年代の演劇作法から現在はずいぶんと離れて遠いところに来ているように思う。
それが時代と切り結んで行くということなのかも知れない。
逆に、ブルースカイは90年代をそのまま提示する。確信犯なのか?
笑いの質の問題は置いておいて、
現在に90年代テイストを行うことがはたして有効であったのか?と考えた。
90年代は現在言われている、昭和ブームのような懐かしい話ではないと思った。
その見極めも演劇をやる際に重要なことであるのだなと思った。
俳優のレベルが個性的で上手なだけに、
それを強い求心力で取りまとめていくチカラを見たい。
そこから統一感が生まれ一体感が醸成されるように思う。
後半の上演では、そうなっていくことを期待します。
それにしても、出演俳優たちを見るのは本当に楽しかった。
3月16日まで。